「TikTok Creator Summit Japan 2024」レポ ハイクオリティなコンテンツ制作へのヒントも

海外クリエイターも登壇

「TikTok Creator Summit Japan 2024」登壇者たち

 続いてのトークセッションは、海外のTikTokクリエイターが登場。

 アメリカのロサンゼルスで弁護士をしているLaw By Mikeは、身近な法律の問題をわかりやすく解説する動画で人気を博し、フォロワー890万人を抱えている。もう1組は、オーストラリアのJosh & Mattの2人で、自宅のDIY動画で有名で、こちらもフォロワーは330万人を超えているという。

Law By Mike

 動画のテーマ設定について、Mikeはなにより大切なのはどんな価値を提供できるのかを考えることだという。それを考える際にまず3つのことを考えるのだそうだ。それは、教育的であるか、エンタメにできているか、そして刺激的かどうかだ。1つでもあればどの動画も成功するが、3つ揃えば大成功だという。こうしたノウハウは、動画を投稿し続けていく中で気づいたという。最初の頃は弁護士として知名度を上げて仕事につながればと思っていたが、他の人の動画から学んでいき、今ではデジタルクリエイターを本業にして活動している。編集については、ショート動画はスマホのツールでも充分可能であり、必ずしも先進的なツールは必要ないと語る。時には俳優を起用して撮影することもあるが、基本的には自ら出演もしているとのこと。

 Josh & Mattは、あまり事前にプランを練りすぎないようにしているようだ。朝起きて2人で話してその時のノリで決めていく。本当にノリが良い時は即興でどんどん撮影していき、その中で偶然起きたことこと最高の瞬間だという。2人は即興を重要だと考えているようで、それは自分たちらしさが出せるからだという。しかし、そんな2人もかつては自分らしさを動画で出すのは怖かったという。編集については独学で学んだそうで、概ね60分くらい撮影して、短い動画にまとめるのだそうだ。また、自宅のリノベというネタは時間の経過が重要なため、タイムラプスというフォーマットを多用しているのことで、言葉を使わずにプロセスを見せられるところが気に入っているようだ。

Josh & Matt

 JoshとMattは、TikTokでクリエイターを目指す人に向かって、自分らしさが一番の武器になる、そして、人はこの動画を見るのか、何に価値を見出しているのかを考えるのが大事だと語り掛けた。Mikeは、ハイクオリティなコンテンツを作るためにはやはり事前のプランニングが重要で、何が動画の価値となるのかしっかりと考えることとまとめ、前半パートのセッションを負えた。

人気クリエイターたちによるセッションも

(左から2番目から)ラブマツ、TAKASHii、MC TAKA

 続いての後半パートは、「TikTokをはじめ様々なプラットフォームで活躍するためのヒント」(MC TAKA、ラブマツTAKASHiiが登壇)、そして「ファンクリエイターによるコンテンツ」をテーマにした【選択式セッション】に。筆者が参加した「ファンクリエイターによるコンテンツ」では、映画感想TikTokクリエイターのしんのすけが司会を務め、フミヤ@映画紹介アニヲタ榊原社長が登壇。紹介系コンテンツの動画で成功している3人が、その秘訣を語り合った。

 そもそもなぜ紹介系のコンテンツを投稿しようと思ったのかについて、フミヤは最初は踊ってバズるインフルエンサーを目指していたが、全く上手くいかず、あらゆるジャンルの動画を試した結果、映画紹介が一番伸びたからだという。その理由は、「一番想いと熱量を込められた」からだと分析しているとのこと。

 次に取り扱うネタをどう選んでいるかについて、登壇者たちは「トレンド」や「ネタ性」を大切にしていると語る。フミヤは加えて、メジャー映画、あるいは刺激の強いホラー映画などは伸びやすいと言い、さらに「正直レビュー」というスタイルを作り、「この映画は自分には刺さらなかった」と正直に紹介する動画も意外と伸びていると話す。それには、同意と反論両方からたくさんコメントがつくとのこと。それを受けて、しんのすけは「コンテンツには作品単位でもキャスト単位でも(ファンが)ついているので、コメント欄を議論の場にすることには気をつけないといけないが、自分も視聴者の反応は意識しながら作っている」と語る。

(左から)アニヲタ榊原社長、フミヤ@映画紹介、しんのすけ

 次に動画の構成についてだが、ユーザーやファンに受け入れてもらいやすい型を探すことが正攻法だと登壇者同士でトーク。続けてフミヤは、バズっている動画やアカウントをベンチマークにしつつも、模倣にならないように2つを足して2で割ることを心がけているという。TikTok以外からも参照して、全く異なる分野から輸入するとのことだ。

 ただ、登壇者の3人は実際に顔出しして活動しているが、顔出しせずとも10万フォロワーを実現しているアカウントもたくさんあるという。重要なのは、トライアンドエラーを繰り返し、PDCA(Plan/計画、Do/実行、Check/評価、Action/改善)をきちんと回すことだとして、セッションを終えた。

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