川床明日香、『虎に翼』優未役で叶えた念願の朝ドラ出演 伊藤沙莉から学んだ役者の姿勢
朝ドラ出演は今でも信じられなくて夢心地
――“朝ドラの現場”という点では、以前出演された『なつぞら』はスピンオフでしたが、今回は本編ということで、現場の印象などに違いはありましたか?
『なつぞら』スピンオフで音尾琢真の娘役に 新鋭女優・川床明日香が語る、朝ドラの現場での挑戦
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川床:スピンオフはすでに台本が出来上がった状態だったのですが、今回は「次の展開がどうなるのかわからない」という違いがありました。自分がどういう出方をするのかもわからないまま「とりあえず優未役に決まりました」という状態だったので、本当にどうなるんだろうと思っていました。
――いち視聴者として、『虎に翼』の結末についてどう感じましたか?
川床:結末については、視聴者としてではなく“優未として”しか考えられなくて……。でも、最後には「優未のお母さんが、本当にトラちゃんでよかったな」と思いました。
――意味深ですね(笑)。最後に母と娘がどう描かれるのか、楽しみにしています。この作品を通じて、ご自身にとってプラスになったと感じることはありますか?
川床:朝ドラに出ることが役者としての目標でもあったので、それが叶ったというのは自分にとって大事なポイントになったのかなと思います。私自身、朝ドラには大好きな作品がたくさんあって、毎日観て「明日も頑張ろう」と元気をもらえる、1日を生きる理由になるものでもあって。「そういう作品に自分も出られるようにお仕事を頑張っていきたいな」と思っていたので、こんなにも早く、さらには予想もしていなかった形で叶ったというのは、今でも信じられなくて夢心地ではありますね。
――朝ドラは、観るというより生活の一部になっている方もいますからね。特に好きな朝ドラは?
川床:本当にいっぱいあるんですけど、『おひさま』と『カーネーション』は見返すことが多いです。
――『カーネーション』は『虎に翼』との共通点があるとも言われていますし、どちらも名作ですよね。今回は、キャストたちの関係性がすでに完成している現場に入るかたちでしたが、やはり最初の「はじめまして」から参加するほうがやりやすいものですか?
川床:そうですね。でも、最初から入るときには「この人どういう人なのかな?」と探り探り進めていくようなところがあるので、それはそれで違った大変さがあるなと思います。
――現場では、人見知りせずに先輩にも話しかけられるタイプなのでしょうか?
川床:頑張りはするんですが、最近はそれが悩みでもあって……。もうちょっとちゃんとコミュニケーションを取れるようになりたい、というのが今の目標です。
――『虎に翼』はすごく明るい現場で、どなたにお話を聞いても座長としての伊藤さんを絶賛される方ばかりです。
川床:本当にそうですね。クランクインしたときには、「こんなに明るくて、こんなに温かい人がいるんだ」とビックリしました。最近は現場の居方を考えることが多くなったので、すごく勉強になりました。
――『なつぞら』で取材させていただいたときには、まだ初々しくて一生懸命な印象がある川床さんでしたが、それから5年が経って、お芝居への思いに変化などはありますか?
川床:お芝居に対する悩みは尽きないですね。それが難しさでもありますし、昔の自分にはできなかったことができるようになったからこそ、自分に対する期待値も上がってきて。自分に期待すればするほど不安になるので、怖さもあるけれど、やっぱり楽しいなと思えています。
――そういった怖さと向き合うときには、どんな方とお話を?
川床:マネージャーさんともお話ししますし、疑問に思ったことは現場で監督に相談することが多いですね。
――監督に対して自分の意見が言えるのも、経験を積んできたからこそですよね。役者を続ける中で、「あの人との出会いが大きかったな」と思うことはありますか?
川床:いっぱいあります。でも『沈黙のパレード』の西谷弘監督は、あらためてすごかったなと思います。作品に対してすごくこだわりを持っていて、そのこだわりをどう映像にするかをスタッフさんとキャスト陣で探っていくというか、どうやったらそれを表現できるのかを突き詰めていく。そういうストイックさのある撮影は初めてだったので、自分にとってすごく大きな経験になりました。
――また西谷監督の現場に呼ばれたら?
川床:正直怖いです(笑)。きっと厳しい目で見ていただけるからこそ、成長しておかなきゃいけないなと思いますね。
――朝ドラは少し特殊ですが、映画とドラマを演じる上での違いはありますか?
川床:ドラマは全部の台本ができていることが少ないので、未来からの逆算があまりできないのが難しいなと思います。でも、リアルタイムで視聴者の感想が見られるのは、ドラマの良さだと思いますね。
――SNSのコメントを調べるタイプですか?
川床:めっちゃ調べます(笑)。
――そうなんですね(笑)。朝ドラという大きな経験を経て、「次はこういう作品に出たい」「こういう役を演じたい」という展望も教えてください。
川床:出たい作品はたくさんあります。もう、「この世にある作品を全部やりたい!」くらいの気持ちでいます(笑)。なので、いろいろな作品に呼んでいただけるようになりたいです。そのためにも、自分が演じる役を確実に自分のものにできるように、スキルアップできたらいいなと思っています。
――ここから社会人役を演じられるようになったり、中堅の役どころを演じていく楽しさもありますよね。
川床:はい……ただ、学生役は絶対に限りがあるので、やれるうちにいっぱいやっておきたいです(笑)。
――この先の俳優業への意気込みも伺いたいです。『沈黙のパレード』では歌を披露されていましたが、「また歌いたい」というお気持ちも?
川床:それはありますね。でも、私はすべてにおいて器用にできる範囲でやってしまうところがあって。(役者として)これからは「もっともっとがむしゃらにやっていけるんだぞ!」というところを見せていけたらいいなと思っています。
――たとえば楽器が弾ける役や、ハードなアクションを求められる役が来ても、「取得してやるぞ」という気持ちがあると。
川床:そうですね。役になるための努力をするのがすごく好きなので、そこは楽しんでやれる自信があります。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『虎に翼』
総合:毎週月曜〜金曜8:00〜8:15、(再放送)毎週月曜〜金曜12:45〜13:00
BSプレミアム:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜8:15〜9:30
BS4K:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜10:15~11:30
出演:伊藤沙莉、岡田将生、石田ゆり子、森田望智、土居志央梨、ハ・ヨンス、戸塚純貴、高橋努、平埜生成、塚地武雅、趙珉和、三山凌輝、川床明日香、円井わん、青山凌大、今井悠貴、菊池和澄、井上祐貴、尾碕真花、池田朱那、平田満、余貴美子、沢村一樹、滝藤賢一、松山ケンイチ
作:吉田恵里香
語り:尾野真千子
音楽:森優太
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博
制作統括:尾崎裕和
プロデューサー:石澤かおる
取材:清永聡
演出:梛川善郎、安藤大佑、橋本万葉ほか
写真提供=NHK