吉谷彩子&浅川梨奈が考える“幸せ”の見つけ方 「人と比べても何にもならない」

吉谷彩子が大切にする“自分の楽しい道を進む”こと

ーー本作はマウントが一つのテーマになっていますが、お2人は日常生活の中で、他人と自分を比べてしまう瞬間ってありますか?

吉谷:小さい頃はよくありましたね。お兄ちゃんが2人いるので、どうしてもお兄ちゃんの方が頭が良かったり、運動ができたりすることに対して、悔しい気持ちになってました。お兄ちゃんたちはこんなに勉強できて、私はこんないい点取れない。お兄ちゃんあんなに足速いのに私そんなに足速くないとか。でも、大人になってから、他人に対して、そういう視点は全然なくなってきた気がします。

ーー大人になったことで、どういうマインドの変化があったと思いますか?

吉谷:自分ができること……自分の好きなことを見つけてからは、人と比べたりするのがなくなったのかもしれないです。私はエレクトーンを小さい頃からやっていたのですが、それが楽しくてずっと続けてきました。そういう自分だけの何かを見つけてからは、兄とも比べることが減った気がします。演技の道もそうですが、“自分の楽しい道を進んでいく”と、自然とそういう比較の意識がなくなっていくんじゃないかな。

浅川:私は小さい頃から1人っ子だったこともあって、人と比べたことがあまりなくて。だって、人と比べても何にもならないじゃないですか。自分ができなくて人ができることってたくさんあると思うんです。人は人だし、自分は自分。それに向き不向きもあるから。

吉谷:カッコいいね。

浅川:だから、「そんなに比べてもしょうがない」って昔から思い続けて今に至ると言いますか。比べて嫉妬したりしても、自分の自己肯定感が下がるだけで、負の連鎖になるだけなので。この作品みたいな女の子同士の(マウントの)雰囲気もわからなくないですけど、それでも、その中でのキャラや立ち位置で競おうとは思わないですね。「その人ができることを、そこでやってけばいいじゃん!」っていうマインドでいるようにしています。

ーー人のいいところも見つけるし、自分のいいところもちゃんと認識する、ということでしょうか?

浅川:そうかもしれないですね。人のいいところに妬ましさを感じたりはしないんです。でも実際「自分のいいところは?」って聞かれたら「どこだろう」って悩んじゃうかも(笑)。逆に「悪いところは?」って聞かれたら「素直すぎるところ!」って即答できるんですけど。よくも悪くも人に興味がないので、自分にも特に興味がないんです。だから、こういう考え方ができるのかもしれません。

吉谷:すごくポジティブ!

浅川:ありがとうございます(笑)。辛くなったら寝ればいいと思うんです。寝て起きたら、どうにかなってるはずなので!

学びの多かった“攻め”と“受け”の演技

(左から)吉谷彩子、浅川梨奈

ーー衝撃的な展開やシーンも多い『どうか私より不幸でいて下さい』で、今回参加して一番学びになったことは何ですか?

吉谷:泣くシーンの、感情の波の細かな変化がとても勉強になりました。感情の振り幅が大きい役だったので、泣くシーンが多かったんです。どのセリフで涙が出るかを知るために、最初は本気でテストしてみるんです。そうすると「このセリフでショックを受けて泣く」とか「このセリフで感情が高ぶって涙が出る」とか、感情の動きが分かってくるんです。本番では少し抑えめにしてはいるものの、その感覚を思い出しながら演じていて。ある場面では感情が動いて涙が出たり、別の場面では怒りを感じて、でもその怒りが悲しみに変わって泣いてしまったり。悔しくて泣くこともありました。こんなに細かい感情の変化を演じるのは初めての経験で、本当に勉強になりました。

ーーひどい仕打ちのある今回のストーリーだからこそ、感じることも多かったのではないでしょうか。

吉谷:人生で、これほどひどい仕打ちを受けることってなかなかないですもんね。そんな中で「大丈夫だよ」という一言で、人はこんなに涙するんだなとか。景子を演じてみて、感情の振り幅がとても広がったと思います。

浅川:さっきも少し触れたのですが、私は普段から、攻めの役柄が多くて。今回も基本的に攻めのポジションでしたが、吉谷さんの受けの演技がとても自然で。何をしても受け止めてくれて、それを自然に返してくれる。こういう表情や感情の表現をすれば、受けの立場でもこんなに印象的になるんだと学びました。ドラマだと一般的に攻め側が目立ちがちですが、吉谷さんは景子というキャラクターを受けでもしっかり演じていて、感動しました。演じながら多くを学べましたし、この作品に参加できて本当によかったです。

ーー本作は自分にとっての幸せのあり方を考えさせられる作品でもあると思います。最後に、お2人にとっての「幸せ」の見つけ方を教えてください。

吉谷:この現場で、梨奈ちゃんと一緒にこの作品をやって得たものでもあると思うんですが、幸せは誰かと比べるものじゃないんですよね。どんなに小さなことでも、自分が幸せだと感じられれば、それが一番じゃないでしょうか。

浅川:そうですね。これは私の人生観でもあるんですが、「楽しいことが幸せ」だと思っています。楽しいと感じる瞬間をどれだけ作れるか、与えられるか。この現場では楽しい瞬間がたくさんあって、とても幸せだったなと感じます。口にだす言葉も、「つらい」って毎日言うより、「楽しい」って言った方がいいじゃないですか。

吉谷:そうだね、自分に言い聞かせることも大切だよね。

浅川:本当にそうですよね。

吉谷:三浦(貴大)さんもそうしてるって言ってたよ。つらいことがあっても、「今日も幸せ。楽しかった!」って言って寝るんだって。

浅川:それはそれで、無理してる感じで心配ですけど(笑)。でもそういう考え方が幸せを見つける近道なのかもしれないですね。

■放送情報
ドラマDEEP『どうか私より不幸でいて下さい』
日本テレビ系にて、毎週火曜24:24~24:54放送
TVer、Huluにて毎話放送後配信
出演:吉谷彩子、浅川梨奈、瀬戸利樹、村瀬紗英、宗像隼司、冨手麻妙、山下容莉枝、神保悟志
原作:『どうか私より不幸でいて下さい』さいマサ/エブリスタ、竹野筍・ましきcomico
脚本:鹿目けい子
演出:長尾くみこ、仙田普之
制作:吉田絵
プロデュース:藤井良記
プロデューサー:伊藤裕史、木口洋介
協力プロデューサー:石井満梨奈
音楽:LUO YA JHE、植田能平、コバスリー、TI、ノグチリョウ
制作プロダクション:AXON、unicos
製作著作:日本テレビ
©さいマサ/エブリスタ ©竹野筍・ましき/comico ©NTV
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