『虎に翼』寅子は家裁の“母”と呼ぶべき存在に 香子の娘も逮捕された少年事件への眼差し

 寅子はといえば、発足から20年が経った東京家庭裁判所部の総括判事となり、少年事件の審判を担当している。この頃の日本は社会の発展とともに未成年による凶悪犯罪が増え、日米安保改定やベトナム戦争への抗議デモが徐々に激化していた。それでも犯罪行為の背景にまで目を向け、一人ひとりの人生に向き合う寅子の姿勢は変わっていない。横暴な態度をとる青年にも一切怯まず、柔らかな笑顔を見せる寅子はまさに家庭裁判所の母と呼ぶべき存在だ。

 そんな中、桂場(松山ケンイチ)が最高裁長官に就任。ついに司法の頂に登り詰める一方、多岐川(滝藤賢一)はがんを患い、病に伏せっていた。しばらく見ぬ間に老け込んではいるが、見舞いに訪れた寅子にふざける様子は以前のままで少しホッとする。そこで登場するのが、大学生になった香子(ハ・ヨンス)と汐見(平埜生成)の娘・薫(池田朱那)だ。つい最近まで母親が朝鮮人である事実を自分に隠していたことが許せず、両親に反発していた。

 現在よりも遥かに朝鮮人に対する偏見や差別が色濃かった時代に、娘のためにも香淑という名を捨てて日本人として生きる覚悟を決めた香子。だが、学生運動に没頭している薫は間違った社会に声を上げなかった母親の選択を受け入れることができなかったのだ。第24週では、そんな薫が事件に巻き込まれて逮捕されてしまう。時代とともにその形が大きく変化していく少年事件に寅子はどう対峙していくのだろうか。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『虎に翼』
総合:毎週月曜〜金曜8:00〜8:15、(再放送)毎週月曜〜金曜12:45〜13:00
BSプレミアム:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜8:15〜9:30
BS4K:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜10:15~11:30
出演:伊藤沙莉、岡田将生、石田ゆり子、森田望智、土居志央梨、ハ・ヨンス、戸塚純貴、高橋努、平埜生成、塚地武雅、趙珉和、三山凌輝、川床明日香、円井わん、青山凌大、今井悠貴、菊池和澄、井上祐貴、尾碕真花、池田朱那、平田満、余貴美子、沢村一樹、滝藤賢一、松山ケンイチ
作:吉田恵里香
語り:尾野真千子
音楽:森優太
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博
制作統括:尾崎裕和
プロデューサー:石澤かおる
取材:清永聡
演出:梛川善郎、安藤大佑、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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