『トイ・ストーリー』はアニメ映画を永遠に変えた! 28年前とは思えないCGのクオリティ

 7月26日の『金曜ロードショー』(日本テレビ系)で、ピクサー・アニメーション・スタジオ(以下、ピクサー)の長編アニメ映画1作目である『トイ・ストーリー』が放送される。本作は世界初のフルCGアニメーション長編映画として知られており、その映像クオリティは、公開当時全世界に衝撃を与えた。その後1999年に続編が公開され、2023年までに4作目まで公開された大人気シリーズは、2026年には5作目の公開も決定している。

 公開から28年経っても色褪せない魅力を持つ『トイ・ストーリー』。ここでは、アニメ映画における本作の影響と、作品の見どころを紹介していこう。

アニメ映画を永遠に変えた『トイ・ストーリー』

 『トイ・ストーリー』以前の映画史では、今では当たり前だが、CGは実写映像を補完するためのものとして用いられていた。1982年に公開された『トロン』は、コンピュータの中の世界を表現するため、CGが全面的に用いられた作品として知られている。しかし同作におけるフルCGシーンは、上映時間96分のうちの15分と短く、さらにその一部に従来の手描きアニメーションが用いられるなど、本格的なものとは言い難い。これは、コストや納期の都合によるものと言われている。

 その後時代は進み、CGは本格的に実写映画の映像を補完する役割を担うようになる。『ターミネーター2』(1991年)では、CGで作られたキャラクターに人間の自然な動きを使用したり、一部CGで作られた主人公が登場するなど、その自然さは観客の度肝を抜いた。しかし製作費は9400万ドルから1億2000万ドルと、これまでに作られた映画で最も高額となり、当時CGを映画に導入することの難しさを物語るものともなった。さらに1993年に公開された『ジュラシック・パーク』でも全面的にCGを導入しているが、こちらもフルCGのシーンは上演時間126分中7分と短い。しかしCGによってスタントマンの顔を俳優の顔に置き換えたり、人間が恐竜に咥えられるシーンでは咥えた瞬間から役者をCGに置き換えるなど、革新的な技術を用いてアカデミー賞視覚効果賞を受賞している。

 一方アニメ映画では、ディズニー・ルネッサンスの代表格とも言える『美女と野獣』(1991年)のダンスホールのシーンで全面的にCGが導入されたのが、アニメーションにおけるCG使用の先駆けとなった。CGならではのカメラアングルの自由さ、奥行きのある表現が、このシーンの豪華絢爛な美しさを存分に演出している。

 そして1995年。『トイ・ストーリー』は、世界中に衝撃を与え、アニメ映画を永遠に変えた。世界興行収入は3億6200万ドルを記録し、同年の興行収入1位に。さらに製作費は3000万ドルと、コストも抑えられることを証明し、3DCGアニメの時代が到来する。当時アカデミー賞には長編アニメ部門がなかったため、監督のジョン・ラセターは、本作でアカデミー賞特別業績賞を受賞した。この賞は毎年選出されるものではなく、1972年に同賞が創設されてからラセターが受賞するまでに、14回しか授与されていない非常にレアなものだ。

 もちろん本作がアニメ業界に与えた影響は非常に大きく、アニメ制作各社はこぞって3DCGアニメの製作に乗り出した。いち早くこの波に乗ったのはドリームワークスで、1998年に長編フルCGアニメ映画『アンツ』を公開。その後、『シュレック』(2001年)は同年に新設されたアカデミー賞長編アニメ映画賞を受賞し、『マダガスカル』(2005年)や『カンフー・パンダ』(2008年)、『ヒックとドラゴン』(2010年)などの良作を生み出し続けている。

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