『【推しの子】』第14話はアニオリ演出の成功例だ OP&ED映像に込められた意味を考察
アニメ『【推しの子】』第2期が第3話まで放送され、注目を集めているのがOPとEDの映像の意味だ。第1期では、YOASOBIが歌うオープニング主題歌「アイドル」が社会現象となり、これがアイ視点の曲だったことは記憶に新しい。第2期ではOPがアクア、EDがルビー目線の曲になっていることも注目すべきポイントだ。
中島健人とキタニタツヤによるユニット「GEMN」が歌うオープニング主題歌「ファタール」は、星野アイを失った悲しみや怒り、憎悪などアクアが復讐に心を燃やして突き進む心境を表現している。アイの存在がアクアにとってそれだけ大きかったことがよく伝わってくる。なお、「ファタール」は“男を破滅させる魔性の女”という意味を持つ。以前、横槍メンゴが神々しいアイのファンアートを投稿していたことも、興味深い。
一方、羊文学が歌う「Burning」が流れるED映像では、彩度がやや低めの美しくも少々暗めのトーンの映像が展開される。中心にいるのはルビーで、その周りに絵の具が溶けていくような描写が登場する。
まず重なるのは、混ぜるほどに白色に近づく光の三原色(赤・緑・青)。次に水滴の描写がルビー自身に重なっていくことから、重ねると明るさが減り、やがて黒になる色の三原色(シアン・マゼンタ・イエロー)が混ざっていくようにも見える。これはアイドルとして光を纏ったルビーが輝きを失い、“闇堕ち”することを暗示しているのかもしれない。原作読者にはお馴染みの鴉が映像に入り込んでいるのも、なかなかダークな演出と言えるだろう。
ある意味では、原作問題を扱うアニメとして一つの解を出したアニメ『【推しの子】』第14話。アニメ内ではアビ子と現場の確執はまだ解決には届いていないものの、ようやく一筋の光が見えた。今後役者たちに手渡される脚本は、映像ではどのような「現場をつなぐバトン」として描かれるのだろうか。