『虎に翼』“猪爪家の大黒柱”石田ゆり子との別れ 道男との関わりは寅子の礎となる経験に
はるは道男を対等な人間として扱った。一人になってしまうかは「道男次第」と諭した。道男との触れ合いは、寅子にとっても意味がある。これまでの寅子は、どこか少女時代の延長だった節がある。はるがいたおかげで子どもでいられたが、母となり、道男たちと接したことは寅子に大人の自覚を促したのではないだろうか。家庭裁判所で多くの少年少女とかかわる寅子の原点となるエピソードだった。
はるの死は、妻が夫を支えて家の中を仕切る家族の終わりを象徴している。はるが守りたい家族はすでに記憶の中のものだった。共亜事件で直言(岡部たかし)の窮地を救い、猪爪家の全てを記した日記は、はるの死とともにこの世から永久に失われる。はるは日記の中身を見られるのが「恥ずかしいです」と言うが、猪爪家の嫁として後始末をしたと思われる。なお、直言の空気を読まない暴露話に続いて、今際の際におけるはるの寅子への小言(「『地獄だ。やめろ』って言っても、好き勝手に飛び回ってたのはあなたじゃないの」)は不謹慎と思いつつ笑ってしまった。猪爪家の親子関係は最期まで良好だった。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『虎に翼』
総合:毎週月曜〜金曜8:00〜8:15、(再放送)毎週月曜〜金曜12:45〜13:00
BSプレミアム:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜8:15〜9:30
BS4K:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜10:15~11:30
出演:伊藤沙莉、石田ゆり子、岡部たかし、仲野太賀、森田望智、上川周作、土居志央梨、桜井ユキ、平岩紙、ハ・ヨンス、岩田剛典、戸塚純貴、松山ケンイチ、小林薫
作:吉田恵里香
語り:尾野真千子
音楽:森優太
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博
制作統括:尾崎裕和
プロデューサー:石澤かおる
取材:清永聡
演出:梛川善郎、安藤大佑、橋本万葉ほか
写真提供=NHK