『くる恋』生見愛瑠の“軌跡”が凝縮されていた「好き」 大きな愛に包まれた最終回に

 そして、朝日へと真摯に向き合ったまことの元に最後に現れたのが、公太郎である。記憶をなくす前、モノトーンの世界にいたまことだが、桜の花を見て「綺麗だ」と感じることができた瞬間は、少しだけ彼女の世界が色づき始めた瞬間だったのかもしれない。

 記憶をなくしたまことは、人の気持ちだけでなく、自分の「好き」にも向き合っていくことになる。最終回まで、多くのファンが生見愛瑠のナチュラルな演技を絶賛していたが、その中でも特に印象的だったのは、公太郎への想いがつい溢れたような「好き」という言葉だった。その一言に、まことの成長と変化の軌跡が凝縮されていたのではないだろうか。自分をようやく取り戻したまことが、公太郎に「好き」と自分の口から伝える展開は、観る人の心を揺さぶる場面となった。

 さらに、その後の植物に囲まれてのデートシーンでの公太郎のバックハグでの「好きだよ」が、多くの視聴者の心を鷲掴みにしたことは言うまでもない。本作において瀬戸康史と生見愛瑠の織りなす繊細な感情の交流が、ドラマ全体の大きな魅力となったのは間違いないだろう。

 現代社会において、「自分らしさ」という言葉はよく聞く言葉だ。しかし、本当の自分らしさとは何なのだろうか。まことが3人の男性との関係性の中で見せた様々な表情は、自分らしさという概念の多面性を見せてくれた様に思う。人に誇れる好きなことや強い個性があること以上に大切なのが、“その人らしさ”を一緒に大切にしてくれるような誰かと、自然体でいられる関係性を築くことなのだろう。このドラマは、そんな優しいメッセージに溢れていた。

 最終回を観終えた今、「くるり」と世界の見方を変えてみると、普段の日常にも幸せへの道標が隠れているのかもしれない。

■配信情報
火曜ドラマ『くるり~誰が私と恋をした?~』
TVer、U-NEXTにて配信中
出演:生見愛瑠、瀬戸康史、神尾楓珠、宮世琉弥、丸山礼、高野洸、村方乃々佳、肥後克広(ダチョウ俱楽部)、ともさかりえ、片平なぎさ
脚本:吉澤智子
演出:松木彩
プロデューサー:八木亜未
音楽:末廣健一郎、MAYUKO
主題歌:Da-iCE「I wonder」(avex trax)
編成:武田梓
製作:大映テレビ、TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/darekoi_tbs/
公式X(旧 Twitter):@darekoi_tbs
公式Instagram:darekoi_tbs 
公式TikTok:darekoi_tb

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