『虎に翼』猪爪家“再起”を支えた三山凌輝の存在感 悲しみを乗り越えた寅子の再出発

 直明は頼りになる優秀な弟であると同時に、年齢なりの勢いや若々しさも持ち合わせているが、そんなはつらつとした魅力を表情や些細な仕草から的確に表現する。くるりと丸い瞳は雄弁で、動揺、悔しさ、優しさ、決意など様々な感情を孕(はら)んでいる。それでも普段は頼もしさを前面に出して、猪爪家を引っ張ろうと気丈に振る舞う姿がことさら魅力的だった。

 三山は5月28日の『あさイチ』(NHK総合)に出演した際、直明役を演じるにあたり10キロ減量したと明かしている。戦争直後を生きる役だからこそ、ほっそりとした印象を持つ役作りを目指したそうだ。こうした努力の甲斐あって、直明という人物はますます魅力溢れるキャラクターとなった。大切な人を失い沈んだ様子の猪爪家が改めて前を向くきっかけとなる人物が、あの小さかった末っ子の直明だというのも何だか嬉しい。猪爪家がいつの時代も一丸となって何度も立ちあがろうとする姿からは、家族が支え合うことの意義が感じられた。

 
 直明は無事に進学し、今後は学ぶ喜びを噛みしめつつ自分がやりたいことを見つけていくのだろう。何を見つけ、どんな職業に就くことになるのかが楽しみだ。寅子は改めて司法省の人事課に赴き、裁判官として採用してくれるよう申し出る。ここからいよいよ新たな冒険が始まる。今後も猪爪家のそれぞれの活躍からは目が離せなそうだ。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『虎に翼』
総合:毎週月曜〜金曜8:00〜8:15、(再放送)毎週月曜〜金曜12:45〜13:00
BSプレミアム:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜8:15〜9:30
BS4K:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜10:15~11:30
出演:伊藤沙莉、石田ゆり子、岡部たかし、仲野太賀、森田望智、上川周作、土居志央梨、桜井ユキ、平岩紙、ハ・ヨンス、岩田剛典、戸塚純貴、松山ケンイチ、小林薫
作:吉田恵里香
語り:尾野真千子
音楽:森優太
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博
制作統括:尾崎裕和
プロデューサー:石澤かおる
取材:清永聡
演出:梛川善郎、安藤大佑、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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