『Destiny』カオリの事故は仕組まれていた? 真実に迫り“12年前”を取り戻した奏たち
そして浩一郎は、カオリの痛ましい事故を「彼女の空回り」と一蹴し、真樹のことも「たまたま助手席に乗っていただけ」とする。それは、浩一郎自身がここまで事が大きく発展するとは予期できなかった、かつての自分自身について実際は相当後悔しているからではないだろうか。そう思わないと抱えきれないのかもしれない。それに、彼なりに真樹やその周囲について「幼稚で世間知らず」とすることで、彼ら自身が贖罪の意識に駆られなくてもいいように、という気持ちが込められているようにも思える。
そう思うと、何でも一人背追い込んで「俺、馬鹿なんで。馬鹿だけどそれだけが俺にとっては一番大事なことなんで」と取調室で話す真樹と、あまりに不器用な態度を崩せない浩一郎は、やっぱり親子で似た者同士だと言えるのかもしれない。
真樹が勘違いして祐希のことを庇うために放火の罪をかぶろうとしていたことがわかり、皮肉にも知美(宮澤エマ)夫婦と奏の間に学生時代を取り戻すかのような、12年前と繋がるような時間が流れ始める。軽口を叩き合って「ここにカオリがいたら」なんて言い合える未来が彼らにあってよかった。少し前までは記憶に蓋をし、腫れ物に触るかのように不自然に避け合っていた話題や存在を拒否することなく認め、受け入れることができた。
「環エネ事件」で疑惑を向けられていた東正太郎が次期総理の座に就こうとしている中、もうあと一歩で奏が掴もうとしている真実が、タイムリミットの迫る真樹の「生きていく意欲」であり「これから先生きていくための希望」になり得るのだろうか。
■放送情報
『Destiny』
テレビ朝日系にて、 毎週火曜21:00~21:54放送
出演:石原さとみ、亀梨和也、宮澤エマ、矢本悠馬、田中みな実、安藤政信、仲村トオル、佐々木蔵之介、高畑淳子、曽田陵介
脚本:吉田紀子
監督:新城毅彦、星野和成、中村圭良
ゼネラルプロデューサー:中川慎子(テレビ朝日)
プロデューサー:浜田壮瑛(テレビ朝日)、森田美桜(AOI Pro.)、大古場栄一(AOI Pro.)
音楽:得田真裕
主題歌:椎名林檎「人間として」(EMI Records/UNIVERSAL MUSIC)
制作協力:AOI Pro.
制作著作:テレビ朝日
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