映画史に残るコッポラとルーカスのハグも 第77回カンヌ国際映画祭、3つのトピックを解説

日本映画界にとっても大きなカンヌ

(左から)宮崎吾朗、依田謙一 写真=REX/アフロ

 名誉パルムドールといえば、今年はルーカスのほかに大女優メリル・ストリープ、そして日本のスタジオジブリにも贈られた。個人ではなくスタジオに対して名誉パルムドールが贈られるのは今回が初めてのことで、授賞式には宮崎吾朗が出席。先日の第96回アカデミー賞で『君たちはどう生きるか』が長編アニメーション賞に輝いたことに続き、日本を代表するアニメスタジオが世界の映画史にその名を刻むこととなった。

 今年はコンペ部門に日本からの出品はなかったものの、コンペの常連である是枝裕和が審査員として参加。映画祭のポスターは黒澤明の『八月の狂詩曲』で、「ある視点」部門に奥山大史の『ぼくのお日さま』、監督週間に山中瑶子の『ナミビアの砂漠』と久野遥子&山下敦弘の『化け猫あんずちゃん』、山村浩二の『とても短い』が出品され、『ナミビアの砂漠』は日本人監督作として6作目の国際批評家連盟賞を受賞。日本映画の歴史への敬意と、現在の成長を支えたクリエイターへの顕彰、そしてこれからを担うクリエイターへの評価と、今年は日本映画界にとっても大きなカンヌになったのではないだろうか。

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