『街並み照らすヤツら』大きく“動く”森本慎太朗の心情 本物の“正義”を貫く宇野祥平

 第1話の冒頭シーンに回帰するこの終盤の一連。“ただ普通の生活がしたいだけなのに”というモノローグと俯き加減で街を走る正義の姿だけで、あえて画面に映さなくとも第1話からこれまで描かれてきた正義の2カ月間(第1話は倉庫火災から2カ月遡ったところから物語が始まっていた)の転落模様が走馬灯のようによみがえってくる。帰宅した彼を待ち受けているのは、我慢の限界に達して家を出て行ってしまった彩が残した書き置きと、空虚に2階の窓から降りた縄梯子。そして、荒木が捕まったことを知らせにきた日下部(宇野祥平)。それはもはや、彼が“普通の生活”には戻れないことを示しているわけで。

 今回のMVPは、なんといっても日下部であろう。しれっと街コンの様子を伺いに来たり、すっかり街の中に溶け込んでいく。トミヤマ(森下能幸)に話しかけ、彼が“元警察”ではないかと見抜く相馬眼。正義に同情し、偽装強盗のことを知りながらも「応援します」と言いにきてしまう澤本(吉川愛)をたしなめ、そしてラストカットで自分こそが正義の前に立ちはだかる最も大きな壁であることをアピールするかのように静かな迫力を放つ。その対峙は、これまで幾多の物語で描かれてきたような犯罪者と警察官の攻防劇の幕開けを想起させる。ドツボにハマっていく正義に対して、やんわりと本物の“正義”を貫く男。恐るべし。

■放送情報
土ドラ10『街並み照らすヤツら』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00〜放送
出演 : 森本慎太郎(SixTONES)、月島琉衣、浜野謙太、吉川愛、曽田陵介、萩原護、宇野祥平、皆川猿時、森川葵、船越英一郎
脚本:高田亮、清水匡
音楽:大野宏明
監督:前田弘二、鯨岡弘識、中里洋一
プロデューサー:藤森真実、榊原真由子、宇田川寧、妙円園洋輝
チーフプロデューサー:田中宏史
制作協力:ダブ
製作著作:日本テレビ
©日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/machinami-ntv/
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