『休日のわるものさん』のゆるくて深い世界 浅沼晋太郎、斉藤壮馬らの“声”に癒やされる

 週末の過ごし方は、仕事の生産性にも大きく影響すると言われている。仕事に集中して取り組むためには、休日にしっかりリフレッシュして、オン・オフのメリハリをつけることも大切だ。

 それは悪の組織の幹部も同じ。忙しい日々に疲れた心を癒すために、時には日常から離れて、ゆったりとした時間を過ごすことが必要である。そんな、悪の組織の幹部・わるものさんの意外な一面を描いたアニメーションが『休日のわるものさん』だ。

 地球侵略を目論む悪の組織で“将軍”と呼ばれる彼は、地球防衛組織「レンジャー」と日々死闘を繰り広げている。しかし、休日になると彼は完全にオフモードに切り替わる。パンダを見るために動物園へ行ったり、アイスを買いにコンビニへ行ったりと、ゆったりとした時間を満喫するのだ。

 だから、休日にレンジャーたちと会ったとしても、もちろんオフ。戦うどころか、彼らに優しく接するギャップがグッとくる。

 わるものさんが動物と触れ合ったり、中華まんにハマったりととにかくゆるい日常に癒される本作だが、声を演じる面々の豪華さも見逃せない。『休日のわるものさん』はふんわりと優しいトーンの色使いの画作りに加えて、“声”の力で耳からも癒しを提供してくれる作品となっているからだ。

 キャストには、わるものさん役に浅沼晋太郎、ルーニー役には斉藤壮馬、トリガー役には中村悠一といった実力派声優が名を連ねている。さらに、レンジャーを演じるのは、レッド役に石橋陽彩、ブルー役に江口拓也、ピンク役に加隈亜衣、空・麦役に山村響、ブラック役に梅原裕一郎と、今をときめく人気声優たちだ。

 また東山奈央演じる「おすすめ」を教えてくれるコンビニ店員・山野さんとわるものさんとのやりとりでは、真逆のタイプの2人がコンビニを通じて仲良くなっていく姿にほっこりすること間違いなし。意外なことにゆるりと広がっていく、わるものさんの人間関係も面白い。わるものさんは動物にしか興味がないのかと思いきや、店員のおすすめを聞き入れて小さな自分への“ご褒美”を見つけていく。わるものさんの疲れた社会人を感じさせる素朴な一面に、つい共感しながら作品にのめり込んでしまう。

 さらにメインキャラクターだけでなく、脇を固める愛らしいキャラクターにも、豪華声優陣が起用されている。

 たとえば、コンビニで山野さんとわるものさんの何気ない会話に耳を傾ける新社会人くん役には、河西健吾が抜擢。山野さんとわるものさんのユーモラスなやり取りを通して、新社会人くんの日常が少しずつ明るくなっていく様子が微笑ましい。

 人間以外のキャラクターも魅力的だ。春の訪れを告げる桜の精の女の子を坂本真綾が透明感のある美しい声で演じ、藤原夏海演じる樫の木の男の子は爽やかで少年らしさを感じさせる声に。名塚佳織が演じるネコ型ロボット「C018」も、無機質な見た目とは裏腹に、ときおり見せる人間味あふれる反応が視聴者の心を捉えて離さない。

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