『虎に翼』“チェ・ヒャンスク”として最後の笑顔 苦楽をともにした“魔女5”の心苦しい別れ

『虎に翼』“魔女5”の心苦しい別れ

 『虎に翼』(NHK総合)第28話で、寅子(伊藤沙莉)たちは香淑(ハ・ヨンス)との思い出作りのため、海にやってきた。海辺はどんよりとしており、思わず寅子は「ごめんなさい。思っていた景色と違っていた」と口にする。

 そんな中、香淑は嬉しそうな面持ちで寅子たちとともに海辺を歩いていた。その表情に、仲間たちの温かみに触れた香淑の胸中が感じ取れる。「考えてみたら、私たちっていつも思ってたのと違う方へ行ってるなって」という寅子の言葉に、梅子(平岩紙)や涼子(桜井ユキ)、よね(土居志央梨)がこれまでの思い出を振り返る中、香淑が笑顔でこう言った。

「でも、どれも最後はいい方に流れて……今日もきっとそうなります」

 ハ・ヨンス演じる香淑は、物静かだが芯のある性格と人懐っこい笑顔が印象的だ。時代の逆風に晒されながらも、健気に学び続けた香淑の強さを、ハ・ヨンスは心に残る親しげな笑顔と実直な佇まいによって見せてくれた。香淑が日本で勉強を続けるのが困難になるほど、朝鮮半島から来た人々はつらく苦しい立場に置かれている。

 
 しかし香淑は寅子たちの前でなら、身を固くすることなく、母国での自分の名前を伝えることができる。香淑は砂浜に自らの名前を書いて、普段通りの面持ちで「チェ・ヒャンスク(崔香淑)と読みます」と言った。「ヒャンちゃん」という新しい愛称に、とびっきりの明るい笑顔を見せた香淑。涙が込み上げてくるのを抑えながら、別れの時間を楽しむ姿が胸に響いた。

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