「ひらめき電球」「反省バケツ」「けんか煙」「ズッコケ」など 懐かしのアニメ演出10選

 かつてアニメ業界を席巻していた「日常系アニメ」が、近年その勢いを失いつつあるといわれている。その理由については諸説あるが、単に減っているのではなく、派生しているのではないかという意見もある。

 例えば、『まんがタイムきらら』を原作とした『ぼっち・ざ・ろっく!』『ゆるキャン△』のように、趣味×日常を描く作品は今でも人気を集めているし、異世界でのスローライフを描いた作品も流行している。しかしその一方で、昭和の香りが色濃く残る“漫画的演出”を取り入れた日常系アニメは確かに減少傾向にあるようだ。さらには、「和気あいあいとしたキャラクターの掛け合いを楽しむ」という欲求の解消先が、今ではVTuberに取って代わられつつあるという意見も。

 さまざまなコンテンツが溢れる今、個性豊かなキャラクターの日常を眺めてホッと一息つきたいなら、わざわざアニメでなくてもいいのかもしれない。VTuberブームの火付け役となった「キズナアイ」が誕生したのが2016年頃で、日常系アニメの衰退と時期がほぼ重なっているため、同じ客層がVTuberに流れていった可能性も十分に考えられる。

 4月8日にはSNS上で「最近本当に見なくなった演出選手権」のハッシュタグがトレンド入りし、懐かしいアニメ演出の数々が寄せられた。このトレンドは、かつての日常系アニメで頻繁に使われていた演出が、今ではあまり見られなくなったことへの反応とも捉えられる。

 本稿では「最近観なくなったアニメ演出」10選を、懐かしさと共に紹介しよう。

1. アイリスアウト

 黒い円が徐々に小さくなっていき、オチとして作品を締めるアイリスアウト。昭和の日常系アニメを中心に、遡ってチャップリンの映画などでもよく見られる演出だが、代表的な例としては、『キテレツ大百科』のエンディングが挙げられるだろう。「とほほ」な感じのオチでこのアイリスアウトが使われ、コロ助がセリフを呟いてエンディング、という流れがお決まりだった。

2. けんか煙・渦巻き走り

 ケンカシーンでよく見られた、もうもうと立ち上る煙。『ドラえもん』でジャイアンがのび太をいじめているシーンを思い浮かべると、ピンとくる人も多いはず。似たような演出では、追いかけっこをしている時に、足元が渦巻きで描かれることで、全速力で走っている様子を表現する演出もある。どちらも最近ではあまり見かけなくなった印象だが、日常系アニメの演出の中で真っ先に思い浮かべた人も多いのでがないか。

3. 画面右下の「つづく」

 
 昭和のアニメでは、エンディング直前に「つづく」の文字が画面右下に表示されるのがお約束だった。次回への期待を煽るための演出だが、近年では次回予告は別途用意されることが多く、エンディングでは主題歌に合わせたアニメーションが流れることが主流になっている。そのため、「つづく」の文字を見る機会はめっきり減ってしまった。

4. 「アニメを見る時は部屋を明るくしてみてくださいね」の注意書き

 厳密には演出とはいえないかもしれないが、アニメの“お決まり”としてもはや本編とセットでイメージが浮かぶこの注意書き。アニメ視聴時の注意点として、昔はよくこの手のテロップが本編開始時に表示されていた。最近ではすっかり見なくなったのは、アニメの視聴環境が変わり、スマホやタブレットで視聴する人が増えたことも理由の一つか。

5. キャラクターが空高く飛ばされた後の「キラーン」

 アニメのギャグシーンでは、キャラクターが強烈なパンチを食らって空高く飛ばされ、最後は「キラーン」という効果音とともに、空に輝く1点となって消えていく……なんてことがよくあった。最近では、そういった大げさな表現も影を潜めつつある。ちなみに、空を飛ぶのが烏なら「アホー」というセリフ付きだった日常系アニメも多かった。

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