『シンカリオン チェンジ ザ ワールド』なぜ主人公を中学生に? プロデューサーに狙いを聞く

『シンカリオン』最新作の狙いをPに聞く

新幹線を題材にしているからこそのリアルとのバランス

ーーアニメの内容についてうかがいます。小学生を主人公にするのと中学生が主人公になるのとでは、お話作りの面で違ってくるところはありましたか?

鈴木:ありますね。小学生と中学生は全然違っていますから。小学生ってやはり子どもなんです。中学生も子どもは子どもですが、もう少し大人の部分が入ってきます。家族に対する考え方も小学生と中学生では違います。物語が進んでいく中で、そうしたキャラクターたちの考え方の違いが出てくると思います。今回の『チェンジ ザ ワールド』が目指しているオールターゲットという部分では、中学生の方がやりやすい気がしています。中学生はいろいろと悩む世代ですから、そうした姿に共感をもってもらえるのではないでしょうか。

ーーオールターゲットを狙ったとはいえ、やはり『シンカリオン』シリーズとして培ってきたものもあると思います。ここだけは守ってほしいとアニメ側にお願いしていることは?

鈴木:やはり過去の『シンカリオン』があるので、そこで育まれてきた「『シンカリオン』とは何ぞや?」といった意識は持ち続けてほしいと思っています。別に取扱説明書があるわけではないですが、皆さんがそれぞれに理解された上で参加していただいているので、意思統一を図るために苦労するようなところはありません。ひとつだけ言えるのは、新幹線というリアルに存在しているものを題材にしているため、あまり現実離れしてしまって、子どもたちを含めた視聴者の手が届かないところに行ってしまわないようにしていることですね。

ーー現実離れとは少し違うかもしれませんが、『新世紀エヴァンゲリオン』や『初音ミク』、『銀河鉄道999』といった作品とのコラボレーションで話題を集めたところが、過去の『シンカリオン』シリーズにはありました。そうしたコラボ展開については続けるお考えですか?

鈴木:『チェンジ ザ ワールド』では今のところコラボについては積極的に考えていません。前のシリーズまでは、ああいったコラボも含めて『シンカリオン』だという意識がありましたが、今回は『シンカリオン』そのものの力だけで勝負していきたいという気持ちがあります。今回はターゲットを広げたことで、お話そのものの深さを探っていかなくてはなりません。幅も広がります。そうしたことに取り組んでいくと、コラボよりも優先して取り組むべきものがある感じになってしまうんです。

ーーアニメ作品として相当に入れ込んで作っている雰囲気が伺えます。そのアニメの制作会社が、過去の『シンカリオン』を手がけたOLMからシグナル・エムディとProduction I.Gに変わりました。ここにはどんな狙いが?

鈴木:それも、オールターゲットというところに戻ってきます。今までとは地続きではない作品を作ろう、そしてターゲットの年齢層も広げようとした時に、ベストなアニメ制作会社はどこだろうと探って、賛同いただいたのがこの2社でした。今回はターゲットに対してベストの選択をしたということです。

ーーProduction I.Gは『攻殻機動隊』のシリーズや『PSYCHO-PASS サイコパス』シリーズを手がけるハイエンドなアニメ制作会社といった印象があって、同じグループのシグナル・エムディと共同とは言えキッズ向けの作品を手がけることに驚きました。

鈴木:そうしたこともトピックになると思いました。

ーー十分驚きを与えてくれました。シグナル・エムディは千野孝敏社長がジーベック時代に『爆球連発!!スーパービーダマン』や『ゾイド ZOIDS』といった子ども向けで玩具も絡んだTVアニメを手がけているから、ノウハウは十分ですね。

鈴木:千野さんの熱さが『シンカリオン』にとてもピッタリです。もう熱いです。汗だくです。そこにProduction I.Gさん制作力も乗って、本当に良いチームになっていると思います。

ーー変形シーンで使われるCGについては、これまでの作品と同様にSMDE(小学館ミュージック&デジタル エンタテイメント)が手がけています。ロボットアニメにとって要とも言えるシーンなので、実績のあるSMDEが手がけるなら安心できます。

鈴木:SMDEさんはシンカリオンのデザインをCGで手がけてきたこともあって、そこは変えられないものがありました。CGを扱えるからといって、どこの会社でもできるというものではないんです。電車に対する理解が必要ですし、社会に対する知識も必要です。そこの部分でSMDEさんが熱を持って作っていただいていました。だから今回も、CGはSMDEさんでやってもらうしかないということが大前提としてありました。前作から2年経って技術も進んでいますから、今まで以上のワクワク感があるかもしれません。楽しみにしていてください。

ーー『チェンジ ザ ワールド』ではメカとしてE5はやぶさ、E6こまち、E7かがやきの3体のシンカリオンが発表されていますが、今後も増えていきそうですか。JR東日本以外の新幹線の登場とか……。

鈴木:新幹線はJR東日本さん以外のものもたくさんありますので期待していてほしいですし、敵のシンカリオンにも注目してほしいですね

ーー『シンカリオン チェンジ ザ ワールド』をどのような人に観ててほしいのか、そして作品を通して何を伝えたいのかを教えてください。

鈴木:『シンカリオン』はロボットアニメと言われる場合もあれば、新幹線のアニメだと言われる場合もあって、いろいろな切り口から表現されます。それすらもすべてではありません。今回は特にオールターゲットにしているということもあるので、物語の深さも含めてどの世代が観てもいろいろな見方ができる作品になっていると思います。新幹線も含めて電車に触れたことがない人は、世の中にほぼいないと思うんです。そうした人たちが抱く多種多様な夢が詰まった作品なので、ぜひ観てください。

■放送情報
『シンカリオン チェンジ ザ ワールド』
テレ東系列にて、4月7日(日)放送スタート 毎週日曜8:30〜放送
BSテレ東にて、毎週日曜24:35~放送
キャスト:石橋陽彩、小野賢章、土屋神葉、集貝はな、本渡楓、小林親弘、喜多村英梨
監督:駒屋健一郎
シリーズ構成:梅原英司
副シリーズ構成:石橋大助
キャラクターデザイン:朝香栞、森田二惟奈 
メカニックデザイン:桐敷晃
音響監督:三間雅文
音楽:菅野祐悟
アニメーション制作:シグナル・エムディ/Production I.G
CGアニメーション制作:SMDE https://www.shinkalion.com/
制作:小学館集英社プロダクション
©プロジェクト シンカリオン・JR-HECWK/ERDA・TX
公式サイト:https://www.shinkalion.com/

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