主人公はNY? 『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』のノスタルジックな内容を考察
アメリカの娯楽映画の一つの金字塔といえる『ゴーストバスターズ』第1作(1984年)の公開より、ちょうど40年の月日が流れた。このタイミングで公開に至ったのが、『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』である。
前作『ゴーストバスターズ/アフターライフ』(2021年)は、往年のノスタルジーを刺激する内容で、アメリカ中南部オクラホマ州の小さな町を舞台に、カナダのアルバータ州で撮影されていたが、続編である『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』ではついに、ゴーストバスターズの本拠地である、ニューヨークのマンハッタンに実在する消防署を中心に物語が展開していく。
ここでは、そんな本作の内容を追いながら、本作『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』で描かれたものが何だったのかを考えてみたい。
『ゴーストバスターズ』といえば、ポール・フェイグ監督と、クリステン・ウィグ、メリッサ・マッカーシーらのキャスティングによる2016年版も記憶に新しい。これは「リブート(再起動)」として用意された作品だったが、『ゴーストバスターズ/アフターライフ』と、本作『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』は、1984年の第1作からのシリーズの続編として、第3作、第4作とされている。
なぜ、このような流れになったのかといえば、端的に言うと往年のファンが、地続きの雰囲気やストーリーを望んだからということになるだろう。2016年版は、男性たちを中心としたバスターズを女性たちに置き換えるという、時代の流れに沿った進歩的な試みがとられたが、『ゴーストバスターズ』はそのときすでにノスタルジーを喚起する題材となっていて、ソニー・ピクチャーズはそちらのファンをターゲットに選び直したということだ。
そんな経緯で『ゴーストバスターズ/アフターライフ』は、新たなキャストたちの活躍に、オリジナルキャストたちが当時の役として本筋に参加し、ゴースト捕獲に尽力すらするという試みで、「正統続編」のかたちでの製作が採用されたのだ。
オリジナルの監督アイヴァン・ライトマンの息子でもある、ジェイソン・ライトマンが監督を務めた前作からバトンを受け継いだのは、アニメ映画『モンスターハウス』(2006年)や、リメイク版『ポルターガイスト』(2015年)を撮っている、前作の脚本にも参加したギル・キーナン監督。アップした予算を活かしながら、堅実な布陣で本作に臨む。
そして物語の中心として映し出されるのは、ゴーストバスターズの本拠地として描かれる「フック&ラダー・カンパニー8」である。実際にニューヨークの消防士だったという俳優スティーヴ・ブシェミを含めた、大勢市民の呼びかけで保存され、いまも現役で活動している消防署だ。本作では、まさにニューヨークの象徴として、第1作以上に大きな意味を持たされている。
そんなゴーストバスターズの基地へと、オクラホマから家族で越してきたのが、イゴン・スペングラー博士(ハロルド・ライミス)の子孫であるスペングラー家の面々だ。一家は往年のバスターズ同様に、依頼を受けてゴースト捕獲に出動する仕事を始めていたが、市街でゴーストとの派手な追跡劇を繰り広げて注目が集まったことで、18歳未満のフィービー(マッケナ・グレイス)の労働法違反が問題となり、バスター業からの離脱を余儀なくされてしまう。