『ブルーピリオド』眞栄田郷敦は八虎をどう演じる? 実写化の鍵は美術をめぐる心理描写

 累計発行部数700万部を超える山口つばさの大人気マンガ『ブルーピリオド』が、2024年8月9日に実写映画化されることが決定。メインキャストやスタッフの情報が公開されると共に、特報映像とティザービジュアルも公開された。

映画『ブルーピリオド』特報映像

 2024年はさまざまな実写化作品が目白押しとなっているが、そのなかでも同映画は大きな話題作となるかもしれない。というのも、そもそも原作の内容からして実写化との相性が抜群だからだ。

 『ブルーピリオド』は2017年から『アフタヌーン』(講談社)にて連載されている作品。「マンガ大賞2020」や「第44回講談社漫画賞」の一般部門を獲得しており、2021年にはTVアニメ化もされた。

 ジャンルとしては“美術”を題材とした青春物語で、主人公の矢口八虎はどこか空虚な毎日を過ごしている高校生。彼は美術室で1枚の絵に心を動かされたことをきっかけに、絵を描くことの面白さに目覚める。そして国内最難関と言われる美大、東京藝術大学への入学を目指し、苦悩と熱気に満ちた日々に邁進していく……。

 作中では美術のノウハウや美大受験の仕組みがどこまでもリアルに描かれているのだが、あくまで主軸となるのは美術にとりつかれた人間たちの心理。自身の才能や衝動、家庭環境などと向き合い、苦悩しながらも創作に邁進していく姿が描かれている。現実と地続きな世界で繰り広げられる骨太な人間ドラマなので、実写映画の題材としてうってつけだと言えるだろう。

 また、登場人物たちの心理が絵画などの作品として可視化されることも、同作ならではの大きな魅力。八虎はある日の早朝に見た「青い渋谷」を絵筆で再現して以降、いろいろな絵を生み出していく。読者はそんな作中絵画を通して、彼の葛藤や成長を見守ることができるのだ。

 しかも作中に出てくる絵画は八虎のものだけではなく、さまざまなキャラクターの作品が登場する。さらに作中絵画は作者の知り合いの漫画家やアーティストたちが協力して手掛けており、それぞれ違った個性が反映されているというこだわりようだ。

 こうした美術要素へのこだわりは実写映画にも取り入れられるようで、撮影のために300枚以上の絵画が描き下ろされており、出演者たちは撮影前に半年以上かけて絵画の練習を行なったという。生身の人間が美術というテーマにぶつかっていく姿を映し出すことで、原作に負けないほどの迫力を引き出せるはずだ。

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