実写版『アラジン』ジャスミンがアニメ版から大きく変化 「スピーチレス」から溢れる決意

「スピーチレス〜心の声」に表れるジャスミンの決意

 実写版公開時にもう1つ話題になったのは、アニメにはなかったジャスミンのソロ曲が制作されたことだ。この曲「スピーチレス〜心の声」は、ディズニーミュージカル映画の巨匠、アラン・メンケンによって作曲された。映画の序盤、ジャスミンは自室でひとり、この歌を口ずさむ。逆境に押しつぶされそうになっても、もう黙っていられないと歌うその声はどこか弱々しく、心の中に生まれた決意をひっそりと育てようとしているようにも聞こえる。意志がありながらも、それを実行する勇気はまだないようだ。

 その後、映画終盤でこの歌のつづきが歌われると、彼女の歌声は力強く、なにものにも囚われない自分のイメージが湧き上がっていく。このシーンでは彼女は多くの人の前で歌っており、もう逃げも隠れもしないという意志と勇気が感じられる。人前で堂々と振る舞う彼女は、その器の大きさを見せつけ、ハッピーエンドへとつながるのだ。

 現在ディズニーは、名作と呼ばれた長編アニメ映画の実写リメイクを次々と発表している。その際、現代に合わせた改変が批判されることもある。しかしジャスミンのキャラクター像はかなり大きな改変でありながら、観客に歓迎された。このことが物語っているのは、キャラクターを改変すること自体が悪いのではなく、キャラクターを“どう”改変するのかが問題だということだ。『アラジン』の、つまりジャスミンの成功例は、今後の実写リメイクの指針ともなるだろう。

■放送情報
『アラジン』
日本テレビ系にて、3月1日(金)21:00~23:14放送
※20分枠拡大
監督:ガイ・リッチー
脚本:ジョン・オーガスト、ガイ・リッチー
歌・音楽:アラン・メンケン
声の出演:中村倫也、山寺宏一、木下晴香、北村一輝、菅生隆之、沢城みゆき、平川大輔、宮内敦士
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