『魅惑の人』愛と復讐に引き裂かれるシン・セギョン チョ・ジョンソクが全身で語る

「この瞬間、私は王ではなく、1人の女人を恋慕する男としてここにおる」

 1月21日よりNetflixで配信中の『魅惑の人』。本作は、チョ・ジョンソク演じる王イ・インと、シン・セギョン演じる男装ヒロインのカン・ヒス(別名:モンウ)が、互いに愛し合いながらも朝廷の陰謀により、複雑に絡み合う運命に翻弄される物語だ。本稿では第11話と第12話をご紹介する。

 清からの求めにより、清へ嫁入りすることになった、先王の娘である公主チャンリョン(アン・セウン)は、モンウの計略により宮女プニョン(キム・ボユン)とすり替わっていた。そのことを知ったインの伯父で、朝廷の権力者である領府事パク・ジョンファン(イ・ギュフェ)は、インに知らせようとインの元を訪れる。インと囲碁の対局中だったモンウは、ジョンファンに先んじて、インにチャンリョン替え玉事件を明かす。インは、モンウの話を聞いて驚愕し、「私が公主を睿親王に嫁がせるのは、捕虜となった民を連れ戻し、戦を防ぐためだ」と激怒する。しかし、モンウから「哀願するも拒まれ、大切な人を守れなくなる苦痛が、私にはよく分かるからです」と3年前に起きたインとモンウの決裂を言われ動揺する。

 モンウが仕出かしたとんでもない事態は、明るみに出ると清に攻め込まれてしまうほどの危険なことだ。けれどインには、愛するモンウを裁くことはできない。インがモンウを守るために、領府事ジョンファンと繰り広げる攻防は、インが囲碁の手のように何手も先を読み、用意周到にジョンファンを追い込んでいく。インは、モンウに「お前が私を信じ、白状したゆえ、私もお前を信じ……この件を揉み消そう」と約束しており、最後は力技でジョンファンを捻じ伏せる。

 目論見が外れたジョンファンは、モンウを呼び出し、モンウの父であり、罪人として清へ送られた領議政カン・ハンスン(ソン・ヒョンジュ)のことを持ち出した。ジョンファンは、「王様は、人の心を利用したのち、切り捨てる方だと忘れるな」とモンウの心に黒い棘を吹き込み疑念を抱かせる。帰り道、何者かにつけられたモンウは、自分を守るインの別軍職(王の親衛軍)たちに気づく。モンウは、インの護衛武士サンファ(カン・ホンソク)の姿を見止め駆け出すも、石にけつまずき、インが抱きとめる。ここからはスローモーションで、韓ドラあるあるの「こけそうになるヒロインを抱きとめる男性と、時が止まったかのように見つめ合うふたり」という胸キュンシーンが挟まれる。王宮内での緊迫した展開から一転、うっとりしたロマンスシーンに入り、インとモンウの心がより近づく。

 インとモンウは映翠亭で、公主の身代わりで清へ嫁入りした、宮女プニョンについて話をする。モンウはプニョンの身を案じるが、インは、プニョンの世話をするのは、北京にいる「私が己より信じている者」だと告げる。インの言葉は、おそらくモンウの父ハンスンのことだろう。生きてくれているのかと、娘であるモンウ=ヒスとの再会の感動シーンが待ち遠しくなる。その時に、モンウはインの本当の姿を知るのだろうか。視聴者はインの本当の姿を知っているので、モンウがインに疑念を抱くことにヤキモキさせられる人も多いのではないだろうか。

 インは、3年前の話をしたモンウのことを考えていたと言い、さらにモンウに「お前に苦痛を与えたうえに再び同じ思いをさせるとは」「お前が申しただろう。誠であれ偽りであれ私について何も言わなかったと、その言葉を疑ったことはない」と告げる。その言葉を聞いたモンウは、3年前のインの残酷な様子と、ジョンファンが吹き込んだ言葉を思い出し、インへの疑念を深める。そんなモンウの心を知らぬインは、モンウに「この瞬間、私は王ではなく1人の女人を恋慕する男としてここにおる」と自分の想いを伝え、王である自分はまたモンウに苦痛を与えるかもしれないが、「それでも私のそばに?」とモンウの気持ちを問う。

関連記事