永野芽郁×余貴美子×真飛聖が親子の絆を表現 『君が心をくれたから』最後の家族旅行へ

 霞美は雨の母親だ。幼い雨を虐待していた過去があり、体罰だけではなく、勢いで雨に包丁を向け、「あんたなんていらない、必要ない」と言った。この時のことを雨は強烈に記憶しており、今でもフラッシュバックと言葉の呪縛に苦しんでいる。だが、霞美は、はっと我に返って娘に包丁を向けている自分に気がつき、逃げるような仕草を見せていた。おそらく雨のことが嫌いだったとか、関心がなかったというわけではなく、当時は何かにいっぱいいっぱいだったのだろう。その証拠に、雨がパティシエを目指す最初のきっかけとなったのは霞美が雨の作ったマグカップケーキを褒め「雨にはお菓子作りの才能があるよ!」と言ってくれたことだった。

 成長して、幼い頃に抱いた夢を実際に叶えようと行動したのは太陽が雨の作ったミルクレープを褒めてくれたからだろうが、霞美との思い出はそれと同じくらい雨にとっては大切なものなのだ。自分に夢を与えてくれた人は自分を虐げていた人でもある。雨が霞美に抱く感情というのはとても複雑なものなのだ。霞美は雨が幼い頃は派手な格好をし、時に明るく、時に自分の感情が制御できずに戸惑っていて、その様子には若さを感じるが、第6話の予告映像に映る、家族旅行に合流した彼女は、服装も地味で化粧も薄く、どこか疲れている。一瞬の表情のみで、時の流れを実感させる霞美を演じる真飛聖の演技には思わず唸ってしまった。霞美がこの後、雨の人生にどう影響を与えていくのかに注目していきたい。

 家族旅行に行くのは雪乃の最期の願いとはいえど、まるで雪乃の命と引き換えに雪乃と霞美、そして霞美と雨の親子の絆を取り戻しているようだ。太陽の命を助けるには、雨の五感が必要だった。やはり何かを得るためには、何かを失わないといけないのだろうか。でもこの中で、一番苦しい思いをしているのは雨だ。それでも雨は今回も、自分に負けず、これまでの自分を変えたいと願い、雪乃や太陽のように優しい人たちに背中を押されながら、勇気を振り絞って前に進もうとしている。なんだか切ない気持ちになってしまうが、私たちにできることは雨を応援することである。

■放送情報
『君が心をくれたから』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:永野芽郁、山田裕貴、斎藤工、松本若菜、白洲迅、出口夏希、真飛聖、遠藤憲一、余貴美子
脚本:宇山佳佑
主題歌:宇多田ヒカル
演出:松山博昭
プロデュース:草ヶ谷大輔
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/kimikoko/
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