『SPY×FAMILY』アーニャと同じ声優とは思えない! 種﨑敦美が2024年も多作の大活躍

 2023年12月に全国の映画館で公開された『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』が、興行収入55.8億円を突破した。公表されている観客動員数は414万人以上とのこと(2024年2月2日時点)。

 昨今、劇場用アニメの興行成績が頻繁にニュースに出ることも珍しくなくなったが、この勢いに本作の凄さを改めて感じる。スパイの“黄昏”ロイド、殺し屋のヨルが、それぞれの秘密を守るため偽装家族で繋がっているはずなのに、(無意識に)家庭を守ることを考えて行動してしまうところが本作の魅力の一端だろう。

『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』WEB CM「じごくにおちなべいびー篇」

 「子は鎹(かすがい)」ということわざが昔からあり、子どもは夫婦の縁を繋ぎとめる役割にもなっている。ロイドとヨルにふと、家族の重要さを感じさせる存在がアーニャだ。『SPY×FAMILY』が日本はもちろん、海外の低年齢層に向けても広く周知されたのは、このアーニャのかわいらしさにあると言えよう。

 『劇場版 SPY×FAMILY』大ヒット御礼の舞台挨拶で、アーニャ役の種﨑敦美が「うんこにこんなに(映画の)尺を使っていいのかなとドキドキだった」と話した通り、公開まで伏せられていた本作のハイライトが、うんこを我慢するアーニャのドラマである。

 原作者の遠藤達哉が便意をこらえるアーニャのラフデザインを描いているが、思わず笑ってしまう苦悶の表情を盛り上げようと、種﨑敦美が全力の芝居で応えている。ワクワクするアーニャも、父と母と一緒で嬉しいアーニャも、トイレに行けず苦しむアーニャも、まさに種﨑の演技なくして成り立たない。

 しかも種﨑は、現在上映中の映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』にも沙代という重要なキャラクター役で出演し、こちらも公開から約2カ月で興収23.4億円突破(1月23日発表)する大ヒットぶり。声優業界に数多くいる女性陣の中でも、注目度の高い作品に次々出まくっている印象だ。

『葬送のフリーレン』種﨑敦美&市ノ瀬加那に聞く、人生を支えた“恩師”との出会い

2023年秋アニメの『葬送のフリーレン』の初回は『金曜ロードショー』で2時間スペシャルとして放送され、それ以降も日本テレビ系の新…

 種﨑は『響け!ユーフォニアム』 シリーズ の鎧塚みぞれ役や、『魔法使いの嫁』の羽鳥チセ役、『グランベルム』の新月役などに見られる、声のトーンが低めなダウナー系少女の演技が実に見事で、この系譜に現在放送中の『葬送のフリーレン』のフリーレン役がある。悠久の時を生きる長寿族のエルフゆえに、達観した視点から抑えめの芝居で台詞を放つフリーレンも、まさに種﨑の演技あっての人気キャラクターだろう。

 若者同士の揉め事に振り回される「やれやれ」なお婆ちゃんモードも、弟子のフェルンに隠しごとをするときの、ちょっとコミカルさを漂わせた愉快な芝居も、普段の控えめな声の芝居に良いアクセントとなっている。ダウナー系少女だけでなく、もちろん可愛らしい美女/美少女も流石の演技力で、前述の『鬼太郎誕生』での沙代役や、『薬屋のひとりごと』の主人公・猫猫を気にかけている玉葉妃は、とてもアーニャと同じ人が演じているとは思えない。

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