『ブギウギ』水上恒司×草彅剛、“スズ子愛”で抜群の相性を発揮 愛助には“最悪の事態”が
「ワテ、歌手やめようかな……」
スズ子(趣里)の衝撃的なひと言から始まった『ブギウギ』(NHK総合)第78話。これまで戦時下ということもあり、スズ子と愛助(水上恒司)の将来については考える余裕がなかった。改めて結婚について考えた2人だが、その障壁となっていたのがトミ(小雪)だ。しかし、トミはスズ子が愛助を支えてくれたことへの感謝から歌手をやめることを条件に結婚を認めた。愛する人と大好きな歌の究極の二択を迫られたスズ子が出した結論が、先の言葉である。
だが、その言葉を聞いた愛助は「あかん!」と大きな声を荒らげて止めようとする。「日本の損失や!」とまで語る愛助の気持ちはきっとドラマを観ている方であれば誰もが共感したはず。そう、スズ子はもはや芸能界のみならず、国にとっても大切な存在なのだ。そんな中で愛助が出した結論は村山興業を出ていくことだった。普段は温厚な愛助のキリッとした表情からは覚悟が伝わってくる。もちろん、それにスズ子は猛反対。いよいよ収集がつかなくなってきたが、坂口(黒田有)の計らいもあって、もう一度考えるように説得される。
愛か歌か……。いつものように台所に立って料理の準備をしながら、いつにも増して陽気なリズムで「ラッパと娘」を口ずさむスズ子。そしてその歌声は徐々に大きくなっていき、いつしか台所が豪華なコンサートホールのようになっていた。やっぱり、スズ子は大好きな歌を歌っている時が一番輝いている。「ホンマにやめるんか」というため息がスズ子の本当の気持ちを表しているように思う。愛助と結婚するためには本当に大好きな歌をやめなければいけないのだろうか。
スズ子の心が揺れ動く中で、突然、いつもと変わらないひょうひょうとした面持ちで羽鳥善一(草彅剛)が自宅にやってきた。第77話では妻の麻里(市川実和子)から不満をぶつけられた善一は改めて考えたのだろう、スズ子に「歌手をやめないでほしい」と伝えに来たのだった。だが、善一の本当の目的はスズ子ではなく愛助。善一はスズ子が他人がとやかく言って止められるものではないことをわかった上で、愛助であればスズ子に寄り添うことができると考えていた。そこで善一がカバンから持ち出したのは“ジャズカル”こと「ジャズカルメン」。オペラの「カルメン」をジャズミュージカルという手法で取り入れた新しい試みに、善一の声は興奮したような震えを帯びていた。いつになっても音楽への情熱が変わらないどころか、むしろより強く熱くなっているような気さえする。