『君が心をくれたから』は珍しいタイプの作品に 永野芽郁主演『半分、青い。』ともリンク

 なにより爆竹というアイテムは、2023年から2024年に切り替わる瞬間に雨と太陽が再会するうえで重要な役割を果たすわけで、破裂する爆竹越しに2人が見つめ合う構図は、さながら『寝ても覚めても』の鮮烈な出会いのシーンを想起させられるものがある。ここでもまた、群衆のなかで爆竹を破裂させる行為や、辺鄙な場所から高速バスが出発する点が妙に気にかかるのだが、背景に打ち上がる花火がそうした懸念を吹き飛ばす。それだけの美しいシーンになっていることは間違いない。

 このまま過去を振り切って新たな約束と共に歩む2人の正直なラブストーリーを観ていたいが、終盤で太陽が事故に遭う一連からドラマは一気にファンタジーへと転じる。太陽の抱える“赤”が判別できない色覚異常という設定は、この第1話では彼が花火師を諦める口実と信号機を見間違えることにしか機能していないが、今後どのように効果的に扱われていくのだろうか。よくよく観返してみれば、傘にはじまり服装やバス、ストローに至るまで作中には随所に“赤”が散りばめられている。こうした点に松山博昭による演出の確かさが窺え、次話以降にも期待ができそうだ。

■放送情報
『君が心をくれたから』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:永野芽郁、山田裕貴、斎藤工、松本若菜、白洲迅、出口夏希、螢雪次朗、佐藤貴史、谷恭輔、萩原護、真飛聖、遠藤憲一、余貴美子ほか
脚本:宇山佳佑
主題歌:宇多田ヒカル
演出:松山博昭
プロデュース:草ヶ谷大輔
©︎フジテレビ
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