『ウォンカ』“ミュージカルはヒットしづらい”の定説覆す ブラムハウス新作が北米初登場

 クリスマスから元日にかけて、1年で最も映画館が賑わう1週間を経て、北米映画市場は“沈黙の年始”を迎えた。例年、1月の初週は映画館に目立った動きが起こりにくいのだ。1月5日~7日の週末ランキングは、『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』が変わらず首位を守った。

 公開4週目の『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』は、2週目のみ『アクアマン/失われた王国』に首位を譲ったが、そのほかの3週はNo.1をキープ。今週も前週比-35.8%と粘り強い興行を続けており、北米の興行収入は1億6465万ドル、また世界興収は4億6585万ドルとホリデー映画のなかでも秀でた成績となっている。

『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』©2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

 特筆すべきは、『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』が通常「ヒットしづらい」といわれるミュージカル作品であること。それゆえ日本国内でもミュージカルではなくファンタジー大作として売り出されたわけだが、ロアルド・ダール原作×ティモシー・シャラメ主演×『パディントン』シリーズのポール・キング監督の化学反応は、そのジンクスを覆すに余りあるポテンシャルを秘めていたようだ。

 逆に言えば、ミュージカル映画がヒットしづらいことにはジャンル以外の理由があるとも考えられるのかもしれない……とはいえ、スティーヴン・スピルバーグ監督の同名映画に基づくブロードウェイミュージカルを映画化した『カラーパープル』は、クリスマスの公開から2度目の週末にして第7位(週末興収は前週比-59.4%)と苦戦中。やはり『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』は特殊なケースと見るべきだろう。

Night Swim | Official Trailer

 新年初の北米拡大公開となったのは、ジェイソン・ブラム&ジェームズ・ワンという鬼才ふたりがプロデュースしたスーパーナチュラルホラー『Night Swim(原題)』。元野球選手のレイ(ワイアット・ラッセル)が家族と引っ越してきた新居には、裏庭におそるべき恐怖のひそむプールがあり……。

 本作は週末3日間で1200万ドルと期待以上のスタートとなり、第2位に初登場。ブラム率いるブラムハウス・ピクチャーズと、ワンの製作会社アトミック・モンスターは1月2日(米国時間)に合併を正式発表しており、新体制で初めての公開作となった。もっとも、2人がタッグを組んだ『M3GAN/ミーガン』(2023年)は、ちょうど1年前の1月初週に初動成績3042万ドルの大ヒットを記録。残念ながら、今回はその半分以下の滑り出しとなった。

 もうひとつ懸念されるのは、賛否が分かれがちなホラージャンルのなかでも評価がかなり低いことだ。Rotten Tomatoesでは批評家スコア26%・観客スコア44%と低調で、出口調査に基づくCinemaScoreでは「C」評価となった。製作費は1500ドルなので黒字化は難しくないが、今後の長期的ヒットは見込めそうにない。現時点での世界興収は1766万ドル。日本公開は未定だ。

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