『リズと青い鳥』が描く“才能の毒” 京都アニメーションの技量が詰まった残酷な美しさ

ラストシーンではついに学校の外へ

 フルートを構えるシーンでも、フルートを置くシーンでも、希美のプラスチック製のような腕時計が頻繁に目に入る。

 おそらくは安価な腕時計をつけた少女に、自分が招いた友人の才能を、自分の才能の及ばなさをありありと感じさせた『リズと青い鳥』。

 物語のほとんどが校内で進むなか、ラストでは、違う道を進むと決めた2人が学校の外に出て、「何を食べに行くか」相談しながら下校する。鳥かごから出る道を、リズが青い鳥に案内するかのように。

 みぞれのほうを振り返る希美と、驚くみぞれの顔。希美が何と言ったのか、どんな表情をしていたのかはわからない。

 だが、青い鳥のことを「リズに会いたくなったらまた会いにくればいい」と話した希美なら、羽ばたいた青い鳥にも帰る場所を用意するはずだ。

■放送情報
『リズと青い鳥』
NHK Eテレにて、1月2日(火)11:05〜12:35放送
原作:武田綾乃(宝島社文庫『響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章』)
監督:山田尚子
脚本:吉田玲子
音楽:牛尾憲輔
キャラクターデザイン:西屋太志
美術監督:篠原睦雄
色彩設計:石田奈央美
楽器設定:髙橋博行
撮影監督:髙尾一也
3D監督:梅津哲郎
音響監督:鶴岡陽太
音楽制作:ランティス
音楽制作協力:洗足学園音楽大学
吹奏楽監修:大和田雅洋
アニメーション制作:京都アニメーション
配給:松竹
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
公式サイト:http://liz-bluebird.com/

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