『ブギウギ』『ハヤブサ消防団』『クレイジークルーズ』 岡部たかしが2023年も怪しさ満点

2023年も“怪しさ”満点だった岡部たかし

 スズ子(趣里)が自分の大ファンだという村山愛助(水上恒司)と運命の出会いを果たした地方巡業の様子が描かれている、朝ドラ『ブギウギ』(NHK総合)の第11週。なんとスズ子の生家で、現在は光子(本上まなみ)とゴンベエ(宇野祥平)が後を継いだ銭湯「はな湯」のメンバーが再登場する。

 いつ見てもインパクトのある「はな湯」の常連たちを演じているのは、朝ドラにも何度も出演している実力派俳優たち。その中でも、今、さまざまなドラマや映画に引っ張りだこで、2024年にも大活躍が予想されるのがアホのおっちゃんを演じる岡部たかしである。

 アホのおっちゃんは「はな湯」の店主公認で“無銭入湯”を繰り返している常連客。いつも薄汚い格好で、酒のことを「薬」と言って常飲しているからずっと酔っ払っている。実は梅吉(柳葉敏郎)とツヤ(水川あさみ)が「はな湯」を開業した際の客第一号で、「はな湯」の屋根の上にかつてあった「ゆ」の字の看板は、大工仕事が得意なおっちゃんが入浴させてもらったお礼にと2人へプレゼントしたもの。だらしないけれどどこか憎めないアホのおっちゃんは、ツヤが特に大事にしていた「義理と人情」を体現するような人なのである。

左から、アサ(楠見薫)、アホのおっちゃん(岡部たかし)、易者(なだぎ武)、福来スズ子(趣里)、キヨ(三谷昌登)ゴンベエ(宇野祥平)、三沢光子(本上まなみ)。 はな湯・休憩所にて。久しぶりにはな湯に立ち寄り、ゴンベエや常連客たちの話を聞くスズ子。
『ブギウギ』写真提供=NHK

 『ブギウギ』では、こんなほんわかするようなエピソードを持ったおっちゃんを演じている岡部だが、近年出演している作品の中で、アホのおっちゃんは珍しい役柄といえる。岡部が得意としているのは、出てきた瞬間に「怪しそう」と感じ、物語が進んでいくうちに、なんだかいい人に思えてきて見直した直後に、色んな意味でやっぱり裏切ってくるような役だ。

 『ハヤブサ消防団』(テレビ朝日系)では、消防団の中では珍しいインテリタイプで、動画配信にも挑戦している好奇心旺盛な中年・徳田を演じていた。連続放火や若者の不審死などハヤブサ地区で立て続けに不穏なことが起こり、全員が怪しく見えてくる中、徳田の“怪しさ度”は低めだった。なぜなら徳田は敵を作ることを極力避け、周囲の人たちを傷つけないよう優しさを持って接し、いつも穏やかだったからだ。その性格は、口を開けばすぐに喧嘩を始めてしまうような宮原(橋本じゅん)や山原(生瀬勝久)がいるような消防団の中では特に際立つものだった。

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ドラマ『ハヤブサ消防団』(テレビ朝日系)において第1話から描かれてきた、ハヤブサ地区で起きている連続放火の犯人は誰かという謎がつ…

 だが、実は徳田は新興宗教・アビゲイルの信者で、村で起こっていた連続放火の犯人でもあった。つまり、仲間である消防団員のことも裏切っていたのである。物語はこの後、徳田が盲信ともいえるほど傾倒していたアビゲイルにフォーカスが当たっていくのだが、放火を繰り返していたことに対してそこまで悪びれておらず、特に犯行理由を話さない徳田の様子は、アビゲイルの常軌を逸している感じを予感させるものとなっていた。

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