『薬屋のひとりごと』“手抜き”騒動から作画技術を考える 視聴者の肥えた目がもたらすもの
『鬼滅の刃』においても、CGと作画の組み合わせが活用されている。例えば、キャラクターと直接関わらないシーンで、炭治郎たちの道案内をする鴉にはCGが用いられている。動物を自然に描くのは難しく、身近な参考がない場合には特に安定した表現を実現することが難しい。こうした背景から、作画にかかるコストを削減するためにCGを使用する手法が広まっている。
また、作画のレイアウトを構築するためにCGでモックアップを作成する方法もある。特に建物など、ゼロからの作画が大変な場合、作画作業に入る前にCGで初期モデルを作成することが一般的だ。『鬼滅の刃』での珠世の診療所や鬼殺隊本部は、このような方法で作画に先駆けてCGモデルが作成されている。
日本のアニメ業界が技術の向上によって大きく進歩していることは、間違いなく素晴らしい成果だ。しかし、今回の「省略作画」の議論のように、より洗練された視聴者の目が増えてきたことによる新たな影響も考えられる。デジタル変革期にある今、業界が直面しているこれらの重要な問題に向き合う必要があるのではないだろうか。
■放送情報
『薬屋のひとりごと』
日本テレビ系にて、毎週土曜24:55〜放送
各種配信プラットフォームにて、放送終了後順次配信
キャスト:悠木碧、大塚剛央、小西克幸、種﨑敦美、石川由依、木野日菜、甲斐田裕子、潘めぐみ、小清水亜美、七海ひろき、斉藤貴美子、家中宏、赤羽根健治、久野美咲、かぬか光明
ナレーション:島本須美
原作:日向夏(ヒーロー文庫/イマジカインフォス刊)
キャラクター原案:しのとうこ
監督・シリーズ構成:長沼範裕
副監督:筆坂明規
キャラクターデザイン:中谷友紀子
色彩設計:相田美里
美術監督:髙尾克己
CGIディレクター:永井有
撮影監督:石黒瑠美
編集:今井大介
音響監督:はたしょう二
音楽:神前暁、Kevin Penkin、桶狭間ありさ
アニメーション制作:TOHO animation STUDIO、OLM
製作:「薬屋のひとりごと」製作委員会
©日向夏・イマジカインフォス/「薬屋のひとりごと」製作委員会
公式サイト:kusuriyanohitorigoto.jp
公式X(旧Twitter):@kusuriya_PR