木南晴夏×生見愛瑠『セクシー田中さん』が“信頼できる”理由 弱い自分の先にあるもの

 何事もそつなくこなしているかに見えたメンズ陣も人知れず傷つきやるせない想いを抱えていた。

 『セクシー田中さん』(日本テレビ系)第7話では、朱里(生見愛瑠)を通して知り合った小西(前田公輝)と進吾(川村壱馬)が互いの胸の内を打ち明け共鳴し合う。

 ちなみにこの2人は『HiGH&LOW THE WORST』シリーズでも共演しており、鬼邪高校の轟洋介(前田公輝)と花岡楓士雄(川村壱馬)コンビがこんな形でまた観られるとは……胸アツな展開だ。

 商社マンのいかにもチャラリーマンという風情の小西は、実は今の立ち位置やキャラクターを後天的な努力で手に入れていた。小学校・中学校時代には全くモテなかったのが、大学生になるなり大学名やそのブランドに惹かれて女子にモテるようになった。そして商社マンになった今、まさにそんな不遇の思春期を挽回するかのごとく無双中。中身は同じ人間なのに、後で身に付けた大学名や会社名などになびいてやってくる女子たちを心の中で見下しながらも、そんなチヤホヤで埋められる自信があるのもまた事実なのだろう。

 小西は女性陣の都合の良い手の平返しに遭遇しそのズルさを実感しているからこそ、どこか冷めた目で相手のことも自分のことも見ているのだろう。だからこそ、テクニックかのような対応になってしまったり、「男の学歴・年収と女の若さ・かわいさは等価交換、どっちもどっち」という言葉が口をついて出てしまうのも仕方ないのかもしれない。小西だってその威力を発揮して美味しい思いをした一方で、傷付いたり虚しさを感じることがあったのだろう。欲を言えば自分の中身を見てほしいと思いつつも、会社名や年収を一切封印して女性陣に対峙するほどの自信もない。自分だってそこを自身の価値として打ち出し利用しながらも、相手が自分を選んでくれる理由がその一点のみとなると途端に虚しさに襲われ冷めてしまう。「でも俺、何が欲しかったんだっけ?」という小西の嘆きがリアルだった。

 一方、進吾は新卒で入った超ブラックなWEB制作会社でこき使われ、“やりがい搾取”でさえない、全くやりがい皆無な環境に本当にギリギリまで精神的に追い込まれていたようだ。自分自身の現状に満足できていない中、誰かの好意に向き合おうという余裕は確かに湧いてこないだろう。それでも薄ら感じる朱里からの好意だけが、職場でボロ雑巾のように扱われる慎吾の自尊心を保つ砦になっていたようだ。朱里が飲み会で出会うはるかに年収も高い大手企業勤務のメンズよりも自分を選んでくれるということでプライドを満たされながらも、そんな朱里のことを「打算的で依存的で今かわいいだけの女の子」とどこか見くびり馬鹿にもしていた。自分自身が報われていない時、確かに若くてかわいいだけでチヤホヤされているかに見える女子のことをイージーモードでズルいと思ってしまうのも致し方ない部分があるのかもしれない。

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