鈴木亮平はなぜ高い信頼度を誇るのか? 『下剋上球児』などで立ち上げるリアルな人物像

 俳優・鈴木亮平といえばまさにカメレオンのように、作品ごとにさまざまなキャラクターに姿を変えてきた。正義感の塊のような男を演じていたかと思えば、悪魔のような暴力団の組長役にも。これらは“擬態”ではなく、完全なる“変身”だった。NHK大河ドラマ『西郷どん』(2018年)では西郷隆盛を、 映画『燃えよ剣』(2021年)では近藤勇を演じてきた鈴木だが、いずれも歴史上の人物をそれらしく演じる域を圧倒的に飛び出していたものである。世間に広く浸透しているイメージを模倣して再現するのではなく、変身して生きる。

 鈴木は役作りに対して非常にストイックな俳優として知られているが、たしかに彼ほどの存在はなかなかいないだろう。これはなにも、増量や減量、筋力トレーニングによる肉体改造ばかりを指しているのではない。もちろん肉体を作り変えることは容易でないことを私たちは知っている。10キロ単位の増量や減量は、一般的な生活を送る者からすれば相当な困難をともなう。場合によっては身体を壊してしまうことにもつながりかねない。これを鈴木は作品ごとに行っている。

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 けれどもこれはキャラクターの外側の話である。役を演じ、自分ではない別の人間として生きるためには、その内側も作り変えていかなければならない。内側と外側とがリンクしてはじめて、『下剋上球児』の主人公・南雲脩司のようなリアルな存在が生まれる。ひるがえって考えてみると、『孤狼の血 LEVEL2』(2021年)で“悪魔”を演じていたときの鈴木自身はどんな状態にあったのだろうか。俳優それぞれに役を演じるための方法論を持っているものだが、私たちを人間不信にさせる鈴木の変身ぶりは心配になるほどだ。

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 メンタル(=内側)もフィジカル(=外側)も作り変えるのは大変であり危険なことだが、鈴木ほど演じるキャラクターの振れ幅が大きな俳優もなかなかいない。このことから、彼がどれだけ多くの製作陣から期待を寄せられているのかが分かる。『ゴールデンカムイ』のキャストが発表された際に鈴木の名前がないことが話題になったが、それは彼が非現実的なマンガのキャラクターを演じられる肉体の持ち主だからというだけではないはず。鈴木亮平ならやってくれるーーここまでに記してきたことと重ね合わせれば、彼のように圧倒的に信頼できる存在を誰もが欲する理由は分かるのだ。Netflixによる実写版『シティーハンター』で主人公・冴羽獠を演じることも早くから話題だが、彼が差し出すのはその見た目のハマりっぷりだけではないだろう。

 2023年の鈴木は『エゴイスト』での演技が高く評価され、第22回ニューヨーク・アジアン映画祭2023にて「ライジングスター・アジア賞」を受賞もしている。どストレートなエンタメ作品から作家性の強い作品にまでフィットしてみせる俳優・鈴木亮平。彼の信頼度の高さは、そろそろ海外にも広がっていくのではないだろうか。

■放送情報
日曜劇場『下剋上球児』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:鈴木亮平、黒木華、井川遥、生瀬勝久、明日海りお、山下美月、きょん(コットン)、中沢元紀、兵頭功海、伊藤あさひ、小林虎之介、橘優輝、生田俊平、菅生新樹、財津優太郎、鈴木敦也、福松凜、奥野壮、絃瀬聡一、鳥谷敬、伊達さゆり、松平健、小泉孝太郎、小日向文世
原案:『下剋上球児』(カンゼン/菊地高弘著)
脚本:奥寺佐渡子
プロデュース:新井順子
演出:塚原あゆ子、山室大輔、濱野大輝
編成:佐藤美紀、黎景怡、広瀬泰斗
製作:TBSスパークル
©TBSスパークル/TBS(撮影:ENO)
©TBSスパークル/TBS(撮影:Len)
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/gekokujo_kyuji_tbs/
公式X(旧Twitter):@gekokujo_kyuji
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