三浦貴大が語る、“バディ”趣里への信頼感 『東京貧困女子。』は“知るきっかけ”に
趣里が主演を務める連続ドラマW-30『東京貧困女子。-貧困なんて他人事だと思ってた-』は、経済誌の契約編集者である主人公・雁矢摩子が、貧困女性たちの現実を取材しながら、自らの目線や体感を通して、社会の矛盾や貧困問題の巧妙な仕組みを浮き彫りにしていく物語だ。摩子(趣里)と共に現代の貧困について取材し、育てていくのが、三浦貴大演じる﨑田祐二だ。貧困という難しいテーマに対して「プレッシャーはありました」と語る三浦。そんな三浦に、祐二を演じるにあたっての役づくり、共演する趣里について、本作が社会に与える影響やWOWOW作品への印象などについて語ってもらった。
「自分が知らなかったことを新たに知ったという衝撃」
――『東京貧困女子。』に出演が決まったときの気持ちを聞かせてください。
三浦貴大(以下、三浦):繊細なテーマなので、制作の意図通りに伝わるといいなと思いました。間違った伝わり方をしないように演じたいと考えたら、ある意味、プレッシャーはありましたね。
――台本を読んでみて改めて気付いたことや、驚いたことはありましたか?
三浦:一番に感じたのは、自分が気づかない身近なところにこういう問題があるということです。それを知るきっかけをもらえたと同時に、自分が知らなかったことを新たに知ったという衝撃もありました。
――本作で描かれている女性たちの実情を知っていく中で、感じたことがあれば教えてください。
三浦:今回は『東京貧困女子。』ということで、女性特有の仕事に関しても描かれていますが、男性であっても何がきっかけでこういう状況になるかはわからないし、自分自身もなるかもしれない。今は普通に仕事ができているけれど毎月の給料が決まっているわけではないし、一歩間違えたら自分もこうなるのではというのは考えてしまいましたね。そのくらい当たり前のところに、こんな問題があるという驚きが大きかったです。
――﨑田祐二を演じる上で、気をつけていた部分はありますか?
三浦:﨑田は自分の信念や伝えたいことがありますから、インタビューの場面などでは、ある意味冷たく見えてしまうこともあると思います。特に物語の序盤ではそれが顕著です。日常生活にこんな人がいたら、“ちょっと損をしている人”みたいに思われてしまうかもしれませんね。でも、﨑田には信念があるということはどこかで感じてほしいと言う気持ちで演じました。
――確かに﨑田は前半と後半で印象が変わります。三浦さんご自身が、人物の魅せ方を変えたタイミングはありますか?
三浦:僕が直接的に変えているわけではなく、主人公の摩子が成長していく過程で﨑田も変わっていったのだと思います。ですから自分で変えていくというより、摩子によって﨑田が変わっていくところを見せたいと思っていました。その意味では、自分自身でタイミングは決めていませんでした。
――インタビューする女性によっても﨑田の関わり方が違っていました。やはり﨑田が相手に持つリスペクトや向き合い方というのは見せかけだけじゃない部分が大きいのだと感じました。
三浦:大学生が相手のときはこの喋り方の方が相手も僕と話しやすいんじゃないか、などと考えていました。そういうことを﨑田はうまくやれる人だと思いましたからね。年齢が上の人に対する礼儀もあると思うので、質問は突っ込んでいってもそこに最低限のリスペクトを持つようにしていました。誰かれかまわずタメ口で喋る人ではないと思い、そこは少し意識して変えましたね。
――相手が一番話しやすいところに寄り添ってコミュニケーションを取るという部分を芝居に落とし込むまでに、どれだけ﨑田の仕事を研究されたんだろうと思いました。
三浦:そんなに研究していないですよ(笑)。ただ、僕自身が日常生活の中ですごく大事にしているところではあります。それに、お芝居も人とのコミュニケーションですから、セリフをどんなふうに言ったら相手が喋りやすいかをずっと考えています。そこが役に立ったのかな。