『トクメイ!』橋本環奈と松本まりかが急造バディに 経費削減が生む珍プレーの数々

 11月20日放送の『トクメイ!警視庁特別会計係』(カンテレ・フジテレビ系)第6話では、即席バディが活躍した。

 ひとけのない店内に銃声が鳴り響く。商店街の一角にある喫茶店で起きた立てこもり事件の人質は警察官。100円のコーヒーに釣られて入った一円(橋本環奈)と、円に強引に連れて来られたさゆり(松本まりか)は、運悪く強盗犯と鉢合わせして捕まってしまう。銃を持った彼らは互いに初対面の闇バイト。指示役から店内に2千万円があると聞かされて、店内に押し入った。

 「刑事さゆり&円」女性2人組の凹凸バディは、背中合わせで後ろ手に縛られるが、ドラマ的な都合もあって口だけは自由に動く。円にとって、万町署に潜む脅迫者Xを探す強力なパートナーであり、シングルマザーで現役刑事のさゆりは憧れの存在だ。眼光鋭くクールなたたずまいのさゆりは、常に何かにいら立っているようで、その理由を円は知ることになる。

 橋本環奈と松本まりか。世代は違っても、ドラマ、映画への出演が途切れない注目の2人だ。本作の制作発表会見で、松本は撮影の合間に橋本とずっとおしゃべりしていると明かしていた。相性の良さは劇中にも表れていて、かみ合わない設定のバディのやり取りは、とぼけた味わいの橋本とせっかちな役柄の松本の対比が新鮮だった。さゆりは犯人との格闘シーンもあり、松本は『どうする家康』(NHK総合)のくノ一・大鼠に続いて、アクションで新味を見せた。

 『トクメイ!』にあって事件は事件にあらず。全てにおいて経費削減が優先される。店内に侵入して自分を救出しようとする湯川(沢村一樹)を、「無駄な経費は使わないでください」の一言で立ち去らせるドケチしぐさは、本作ならではの珍プレーである。人命と経費、どちらを選ぶかと聞くこと自体が不謹慎なのに、それが成り立ってしまう『トクメイ!』は異色の作品だ。円に感化された署員たちが、いつの間にか金のかからない捜査を志向し、知恵をめぐらせるうちに正攻法ではないやり方で事件を解決してしまうのは、現実には無理でもフィクションの世界なら全然ありである。

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