『下剋上球児』タイトルに込められた意味とは? 負の歴史変えた快挙の原動力

 デマに免疫のない生徒たちの疑念を払しょくしたのは南雲だったが、生徒たちは、南雲に監督復帰を望むようになる。条件は一勝を達成することで、自分たちの手で南雲をグラウンドに呼び戻そうとしていた。南雲と山住、2人の先生のため勝利への意欲に燃えるザン高ナインは気合十分だった。

 『下剋上球児』というタイトルは、原案となった三重県立白山高校の「日本一の下剋上」に由来する。このドラマの主人公は南雲だが、もう一方の主役として、甲子園を目指す野球部のメンバー1人ひとりがいる。言うまでもなく、野球では、グラウンドに立つ彼ら選手が主人公である。南雲や山住ら悩める大人たちを励ますかのように、青春まっただ中の彼らは懸命に白球を追い、自らの全てを試合にぶつける。自分たちが慕う先生のため、戦う理由はそれで十分だ。生徒が主体であり、下剋上するのは教師ではなく、球児なのだ。

 五十鈴高校が3点をリードしたまま試合は7回へ。将棋部だった椿谷(伊藤あさひ)は、椎野の投球モーションの癖に気付いた。球威の落ちてきた椎野をとらえて連打で塁を埋めると、打った瞬間にわかる根室のスリーランで同点に追いついた。さらに、富嶋が汚名挽回のヒットで出塁、犬塚には死球、キャッチャー日沖壮磨(小林虎之介)は冷静に四球を選んで勝ち越し、椎野をマウンドから引きずり下ろした。これが決勝点となり、越山が2回戦に駒を進めた。

 11年もの間、破れなかった壁を破る原動力になったのは、リベンジに燃える部員たちを戦う集団に変えた山住の指導もさることながら、南雲をグラウンドに連れ戻そうと願う生徒の熱意だった。たとえ世間から何を言われようと、“自分たちの先生”を取り戻すのだという1人ひとりの執念が勝負どころでの集中力に結びついた。スタンドで観戦する南雲と越山ナインは魂でつながっていて、それを邪魔することは誰にもできない。胸を打つ恩師とのエピソードだった。

■放送情報
日曜劇場『下剋上球児』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:鈴木亮平、黒木華、井川遥、生瀬勝久、明日海りお、山下美月、きょん(コットン)、中沢元紀、兵頭功海、伊藤あさひ、小林虎之介、橘優輝、生田俊平、菅生新樹、財津優太郎、鈴木敦也、福松凜、奥野壮、絃瀬聡一、鳥谷敬、伊達さゆり、松平健、小泉孝太郎、小日向文世
原案:『下剋上球児』(カンゼン/菊地高弘著)
脚本:奥寺佐渡子
プロデュース:新井順子
演出:塚原あゆ子、山室大輔、濱野大輝
編成:佐藤美紀、黎景怡、広瀬泰斗
製作:TBSスパークル
©TBSスパークル/TBS(撮影:ENO)
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/gekokujo_kyuji_tbs/
公式X(旧Twitter):@gekokujo_kyuji
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