悠木碧の圧倒的演技力を堪能 『薬屋のひとりごと』『アンデラ』での振り幅の凄さ

 ところで、悠木は9月21日にファーストエッセイ集である『悠木碧のつくりかた』(中央公論新社)を発売した。“お仕事篇”と“推しごと篇”にパートを分け、自らの生い立ちや仕事への考え方、性癖にいたるまで赤裸々に明かした一冊だ。

 本書で悠木は自己観察について語っている。子役時代、事務所のマネージャーからの毎日自分を観察しなさいという言葉をきっかけに悠木は自己観察を始めた。大人になっても悠木は自分の気持ちの核を探して行動している。子どものころから習慣化している“観察”が、声優としての感情表現にもいきているのだろう。

 さらにエッセイ本の執筆に見られるように、悠木が活躍するフィールドは声優業に留まらない。『悠木碧のこしらえるラジオ』でラジオパーソナリティを務めたり、『YUKI×AOI キメラプロジェクト』というキャラクターコンテンツの企画・原作・キャラクター原案をしたり。声優とは直接的に関係のない仕事にも取り組んでいる。

 その理由を、サポート力を上げたいからと語っている悠木。主役の役者を支える立場である脇役は、実力を持った役者が配役される傾向にある。脇役を任せられるということは役者としてのステップアップと同じだ。新しい環境で新しい景色を見てサポーターとして成長するために、悠木はチャレンジする。あらゆる仕事を演技の糧にしているのだ。

 悠木の表現力は声優の仕事だけで培ったものではない。自己観察の習慣や多岐に渡る役者以外の仕事が生み出した人生経験の賜物だ。だからこそ、猫猫の“ブチ切れ”のような視聴者に鮮烈なインパクトを与える感情表現ができるのだろう。

■放送情報
『薬屋のひとりごと』
日本テレビ系にて、毎週土曜24:55〜放送
各種配信プラットフォームにて、放送終了後順次配信
キャスト:悠木碧、大塚剛央、小西克幸、種﨑敦美、石川由依、木野日菜、甲斐田裕子、潘めぐみ、小清水亜美、七海ひろき、斉藤貴美子、家中宏、赤羽根健治、久野美咲、かぬか光明
ナレーション:島本須美
原作:日向夏(ヒーロー文庫/イマジカインフォス刊)
キャラクター原案:しのとうこ
監督・シリーズ構成:長沼範裕
副監督:筆坂明規
キャラクターデザイン:中谷友紀子
色彩設計:相田美里
美術監督:髙尾克己
CGIディレクター:永井有
撮影監督:石黒瑠美
編集:今井大介
音響監督:はたしょう二
音楽:神前暁、Kevin Penkin、桶狭間ありさ
OPテーマ:緑黄色社会『花になって』
EDテーマ:アイナ・ジ・エンド『アイコトバ』
アニメーション制作:TOHO animation STUDIO、OLM
製作:「薬屋のひとりごと」製作委員会
©日向夏・イマジカインフォス/「薬屋のひとりごと」製作委員会
公式サイト:kusuriyanohitorigoto.jp
公式X(旧Twitter):@kusuriya_PR

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