『マイハル』『はじこい』『君の花になる』 “年の差恋愛”は火曜ドラマの新定番に
第4話にして急展開を迎えた『マイ・セカンド・アオハル』(TBS系/以下『マイハル』)。
10歳年下の大学生・拓(道枝駿佑)とアラサー学生・佐弥子(広瀬アリス)はそれぞれにままならない恋愛事情を抱えながら、気がつけばそのときどきで情けない姿を散々晒し合ってきた。その2人の、物理的にも心理的にもグッと距離が縮まる“神様のいたずら”のような美しい瞬間が切り取られた。
佐弥子は、拓の恋愛相談を聞きながら“告白したりされたりする”若者の恋を懐かしみ、“いろいろ言うのは無粋”で、“言わなくてもわかるでしょ的な空気で始まる“大人の恋”をちょっと皮肉っていた。大人になればなるほど、“何にでもなれる”と思っていたのに何者にもなれず、どこか滞りを感じているときに、無敵感漂う年下男性を見ると微笑ましい気持ちになったり、自分の中にも新しい風が吹くような感覚が呼び起こされるのもわかる気がする。
『はじこい』深田恭子と横浜流星が教えてくれた“無敵な自分”になること すべてが愛おしい最終話に
「私には、君みたいな無敵な時間はない。だけど、好きな色を選んで笑うのも、ムチャな道を進んで泣くのも自由。全部“自分のせい”にでき…
“無敵感”と言えば、「無敵ピンク」のゆりゆりこと高校生の由利匡平(横浜流星)とアラサー塾講師の春見順子(深田恭子)との恋模様が描かれた『初めて恋をした日に読む話』(TBS系/以下『はじこい』)が思い出される。『はじこい』以降、年上女性×年下男性のラブストーリーのヒット作が続いているようにも思える。夢破れ、停滞中だった順子の人生に、無限の可能性を秘めたゆりゆりとの出会いが風穴を開けた。自分が叶えられなかった“東大合格”という夢をゆりゆりと共に追いかけることで、順子はある一点で止まってしまっていた自分の人生の時計を前に進められた。
大人になればなるほどに聞き分けばかりよくなって、「突拍子もない夢」は描きづらくなってしまうもの。そんななか、若さゆえの無謀さや向こう見ずな挑戦でしか辿り着けない場所や景色は確かにあり、それを大人になってから一緒に追体験できることは、今まで出会ったことのない初めての自分との新鮮な出会いをもたらしてくれる。
『君の花になる』本田翼に特別な想いを抱く高橋文哉 描かれたそれぞれの“逃げ場”
自分を守るためならば、逃げ出したっていい。そんなふうに言ってもらえる時代になった。けれど、誰だってできれば逃げたくなんかない。だ…
夢を追う年下男性とそれを近くで見守る年上女性の組み合わせでいうと、『君の花になる』(TBS系)もまさにそうだ。元高校教師のあす花(本田翼)は崖っぷちにいる7人組ボーイズグループの寮母となり、リーダーの弾(高橋文哉)たちが夢に向かって真っ直ぐに挑戦する姿に、教師をしていた頃の情熱を取り戻していく。『マイハル』の拓の言葉を借りれば「大人ってズルい」からこそ、そんな小賢しさや狡猾さのない高純度な気持ちをそのままぶつけて何かに夢中になる年下の姿に学ぶことはたくさんあるだろう。そしてその夢が2人を繋ぐ共通点となり自然に距離を近づけていく。