『どうする家康』松本潤×中村七之助、“無二の友”だからこその関ヶ原 戦なき世の夢は続く

 戦いが終わり、家康は近江大津城で三成と向き合った。家康は、自身と同じ「戦なき世を作る」という夢を掲げ、無二の友になれたはずの三成がなぜ戦を引き起こしたのかと問う。三成は家康への怒りをあらわにしながらこう言った。

「私は変わっておりませぬ。この私の内にも戦乱を求むる心が確かにあっただけのこと。一度火がつけば、もう止められぬ恐ろしい火種が」
「それは誰の心にもある」
「ご自分にないとお思いか?」

 三成は「この悲惨な戦を引き起こしたのは私であり、あなただ」と続けた。乱世を生き延びる家康こそ、戦乱を求むる者と息巻いた。

「戦なき世など、なせぬ……」
「まやかしの夢を語るな」

 激昂する三成を前に、家康はしばらく言葉を発しなかった。戦なき世を作る、それは亡き妻・瀬名(有村架純)との誓いでもある。瀬名との誓いを“まやかしの夢”と言われた家康の心境はうかがい知れない。しかし家康は三成と向き合う強い眼はそのままに、冷静な声色でこう言った。

「それでも……わしは、やらねばならぬ」

 自らが戦乱を求むる者であろうと、戦なき世が“まやかしの夢”であろうと、家康にもう迷いはない。憤怒にわななく三成の背中を見る家康はどこか寂しげで物悲しい。無二の友になれたはず、という家康の言葉は本心だったのだろう。されど、その場を立ち去る家康は戦場で見せたまなざしをしていた。戦いは終われど、戦なき世の夢はまだ叶っていない。

■放送情報
『どうする家康』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:松本潤
脚本:古沢良太
制作統括:磯智明
演出統括:加藤拓
音楽:稲本響
写真提供=NHK

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