『新・乃木坂スター誕生!』は5期生のリアルな成長記録だ 11人の色鮮やかな個性が花開く

 乃木坂46の5期生が出演したレギュラー番組『新・乃木坂スター誕生!』のBlu-ray BOX第4巻が11月10日にリリースされる。

 2022年2月にグループ加入が発表された乃木坂46の5期生が、デビュー数カ月で収録に挑んだ『新・乃木坂スター誕生!』(日本テレビ)は、同年4月から翌2023年2月にかけて全40回を放送。かつて先輩メンバーの4期生が昭和歌謡や平成の名曲のカバーに挑戦した『乃木坂スター誕生!』シリーズ(日本テレビ)を引き継ぐ形で、初々しさ満載の5期生が昭和・平成のヒットソングを披露するほか、思わずクスッとしてしまう番組MCのオズワルドとの軽妙なやり取りも楽しめる音楽バラエティ番組となっている。

 同番組のBlu-ray BOXはすでに第3巻までリリースされており、1月発売の第1巻には番組初回から#10まで、5月発売の第2巻には#11〜#20、8月発売の第3巻には#21〜#30をそれぞれ収録。初回こそぎこちなさや心細さが隠しきれない5期生たちだが、収録を重ねるごとにその歌やトークにも磨きがかかっていき、一人前のアイドルへの階段を登っていく様子をつぶさに感じることができる。本稿では発売済みのBlu-ray BOX第1巻〜第3巻までの印象的なポイントを振り返りつつ、『新・乃木坂スター誕生!』の集大成的作品といえる最終巻の見どころを紹介していく。

 第1巻はやはり、何もかもが初めてづくしのなか番組初収録に臨んだ初回での、メンバーの緊張した面持ちに注目しておきたい。今や堂々とした姿でステージに立つ彼女たちだが、どのカメラを観るべきかもわからずオドオドしたり、自分の歌唱パートが終わると安心から涙を浮かべるその様子は、デビュー2カ月の新人そのもの。だが、先陣を切ってソロ歌唱を披露した井上和は、AI「Story」でそんな心細さを微塵も感じさせない、圧倒的なボーカルを響かせた。今や33rdシングル『おひとりさま天国』で乃木坂46のセンターに立つ彼女だが、その片鱗はこのパフォーマンスからも見つけることができるのではないだろうか。

 また中西アルノは、宇多田ヒカル「First Love」を圧巻の歌声と表現力を提示し、新人らしからぬ堂に入った歌声で観る者を魅了。#03にて原田知世「時をかける少女」をピュアな歌声で披露した5期生最年少の小川彩は、#08でのEvery Little Thing「出逢った頃のように」にて見違えるほどの急成長ぶりを見せる。#07では五百城茉央が歌う倖田來未「愛のうた」に合わせ、岡本姫奈が13年間学び続けたバレエの腕前を創作ダンスで発揮させるなど、さまざまな形で逸材ぶりを発揮している。

 そして、多彩なゲストとのコラボレーション企画もこの番組の見どころのひとつ。奥田いろはは#02に出演したゴスペラーズとともに荒井由実(松任谷由実)「やさしさに包まれたなら」をアカペラ歌唱したほか、#08では堀内孝雄とアリス「遠くで汽笛を聞きながら」をギター弾き語りで披露。八代亜紀がゲスト出演した#09では池田瑛紗が「雨の慕情」、菅原咲月がちあきなおみの名曲「喝采」でそれぞれデュエットし、歌謡界・演歌界の大御所を相手に真正面から歌でぶつかっていった。そんな奇跡のコラボを存分に楽しめるのも、『新・乃木坂スター誕生!』ならではだろう。

 第2巻からは乃木坂46の先輩メンバーがゲスト出演。#14、15では先輩メンバーそれぞれの出身地にちなんだアーティストの楽曲を、5期生と一緒に歌唱する。北海道出身の4期生・金川紗耶は菅原と一緒にDREAMS COME TRUE「LOVE LOVE LOVE」で、透明感に満ちた歌声を披露。グループきっての歌姫でもある宮城県出身の3期生・久保史緒里は、彼女のファンでもある小川とMONKEY MAJIK「ただ、ありがとう」で微笑ましいコラボレーションを見せてくれる。また、京都府出身の4期生・弓木奈於は倖田來未「Butterfly」を池田瑛紗&井上とともに、艶やかなダンスを交えてパフォーマンス。福岡県出身の3期生・与田祐希は一ノ瀬美空&奥田を交えて、YUI「Good-bye days」を感情たっぷりに歌い上げ、愛知県出身の4期生・遠藤さくらは五百城と一緒にスキマスイッチ「ボクノート」で美しいハーモニーを響かせる。歌唱前後には先輩メンバーとのトークパートもあり、ここで初めて明かされるエピソード含め見逃せないものがある。

 第3巻に入ると、乃木坂46の一員としての存在感を確立し始めた5期生のスター性が強まり始め、もはや「新メンバー」や「加入○ヶ月」という枕詞が必要ないほどにまで成長したことが窺える。この巻で興味深いのは、中西が加入間もない頃の『乃木坂46 5期生 お見立て会』(※1)で披露した尾崎豊「I LOVE YOU」を番組内でも初歌唱したこと(#25)。『お見立て会』の時点でもその完成度は非常に高かったが、そこから8カ月後の再歌唱では表現力含めさらに進化していることが確認できた。また、番組内でその実力の高さを発揮し続けてきた奥田も、乃木坂46オーディション時に歌ったというMrs. GREEN APPLE「点描の唄(feat.井上苑子)」でシンガーとしての成長ぶりを提示してみせた(#26)。

関連記事