朝ドラ『ブギウギ』趣里と草彅剛の黄金コンビが誕生 才能を引き出した松永の名采配

 風呂は銭湯でも、ピアノの部屋はある。生活の中心に音楽がある羽鳥家で、家の中を仕切るのは妻の麻里(市川実和子)だ。夜、音を出すことが禁じられている羽鳥家のルールは、麻里の鶴の一声で解除され、スズ子と羽鳥はレッスンに臨む。今夜のスズ子はちょっと様子が違う。さっそく始めようとする羽鳥を、荷物を置かせてくれと制止し、「トゥリー、トゥ、ワン、ゼロ」のカウントも無視すると、目を閉じておもむろに歌い出した。

 「楽しいお方も、悲しいお方も」。陽気なメロディーにブルーノートのコードが響くジャズのリズムを、スズ子は体でつかんでいた。身振りを交えて、アドリブで舞い踊りながら、ありったけの魂を絞り出した。ジャズっぽくなったという羽鳥の評を「先生、殺したるって気持ち」とぶっちゃけたスズ子から、羽鳥に対する遠慮は消えていた。何百回と繰り返された稽古は、後の黄金コンビの基盤となったはずだ。

 練習後に夕食を囲んだ羽鳥と麻里の会話はさながらジャズのアドリブ演奏で、なにげない中にグルーヴが感じられた。ジャズのスウィングが体の隅々に躍動しているのが羽鳥であり、麻里は、羽鳥が「良い歌い手さんに出会えた」と話していたと明かす。帰りがけにハーモニーを奏でるスズ子と羽鳥の歌声は、見違えるように“バドジズ”になっていた。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
写真提供=NHK

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