『それパク』“知財”を知れば世界が変わる! 芳根京子&重岡大毅の関係性も見どころに
芳根京子が主演を務めたドラマ『それってパクリじゃないですか?』(日本テレビ系)のBlu-ray&DVDが、11月15日に発売される。
本作は「知的財産」をテーマに、知的財産の知識ゼロの主人公・藤崎亜季(芳根京子)とビジネスに妥協ゼロの上司・北脇雅美(重岡大毅)が凸凹コンビを組むことになるエンタメドラマだ。
「知的財産とは?」と聞かれて、すぐに「知的創造活動によって生み出された財産的価値を有する情報」、つまりはペットボトルで言えば、物としての財産ではなくその周りの「ロゴマーク」「デザイン」「商品の名称」などを指す、とここまで答えられる人はなかなかいないだろう。言ってしまえばそれほどとっつきにくく、ドラマの題材にも選ばれてこなかった知的財産をエンタメとして昇華しながら、ドラマとしても面白く、分かりやすく、そして優しく学べるのが『それパク』の魅力である。劇中にも登場する特許庁が全面協力しており、オンエア時には特許庁の公式SNSにて視聴が推奨されていたのは、本作が教養ドラマとしての側面を持ち合わせていることを証明している。第6話で実際に例として登場する、「ケンタッキーフライドチキン」がなぜ特許を出願していないのかというエピソードもまた、知的財産というフィルターを通すことで、身近な物事を新たな視点で見つめることができることに気づかせてくれる。
お堅いドラマかと思わせておいて、攻めたセリフや演出があるのも面白い。第1話での「ナンバーワンじゃなくオンリーワン」というどこかで聞いた覚えのあるフレーズはその一例だが、亜季の「それってパクリじゃないですか?」のセリフから数々の有名映画に似たシチュエーションが登場するタイトルバックはその象徴だろう。それがパロディなのか、オマージュなのか、それともパクリなのかは、視聴者がこれからこのドラマを観て学び、判断してくださいということを表してもいるのだ。
亜季と北脇の水と油の関係性から始まる凸凹バディも、観ていてユニークかつ心打たれる場面が何度もあった。筆者が忘れられないのは、北脇が月夜野ドリンクの出向を解かれ、親会社へと戻って行ってしまう第9話。月夜野を出ていく北脇に、亜季は下唇を噛み締め、大粒の涙を流す。ハリネズミのようにツンデレであまのじゃくな北脇に、亜季が静かに怒りを露わにすることもあったが、それも全ていつも手を差し伸べ、助けてくれていた愛情の裏返し。何もできなかったと亜季は自責の念に駆られる。ベンチに腰を下ろし、うなだれる北脇を目撃してしまったのだからなおさらだ。本作では、明るくほんわかとした亜季、あまり感情を表に出さない北脇を演じている芳根京子と重岡大毅だからこそ、怒りや悔しさが湧き上がってくる芝居が特に印象に残っている。第3話で北脇への失望、怒りを静かに露呈しながら、冷静を保とうとする芳根の芝居は何度も観たくなるほどの名演だ。