『フェルマーの料理』高橋文哉が辿り着いた“最高の賄い” 志尊淳のギャップから目が離せない

 金曜ドラマ『フェルマーの料理』第2話の放送に「待ってました!」と声をあげたくなったのは、筆者だけではないはず。先週の放送の最後で、東大への進学を諦め、料理の道に進むことを決めた岳(高橋文哉)。そんな彼の大きな第一歩が描かれた今週の放送では、いよいよ岳の数学的思考が料理の世界で本格的に花開き始めた。

 東京にやってきた岳は、海(志尊淳)のマンションに居候することになる。このマンションがこれまた豪華で、冒頭から海の“ハイスペック”さを再認識させられる。その俺様っぷりにすでにファンからは“海様”と称されている海だが、淡麗な容姿、外国語すらも流暢に操る知力も含め、彼のクセになる魅力は視聴者の心を掴んで離さない。謎の下着姿の美女の登場にドギマギしながら「彼女さんですか?」と尋ねる岳にも、海は意味深にウインク。しかし料理のことになると「俺は料理の歴史を分断するつもりだ。俺以前と俺以後で」とまたもや強気な姿勢で、次なるミッションを告げた。

 レストラン「K」には、新人は賄いを作り、スタッフ全員から合格点をもらわなければクビという厳しいルールがあるとのこと。海は、岳にその期限を1週間にすると告げる。賄いといっても、今度は前回岳が作ったような“普通の賄い”が求められているわけではない(あのナポリタンも、ある意味では普通ではなかったわけだが)。レストラン「K」には料理の世界で実力を積んだ者たちが揃っている。岳が作るべきは、そんな舌の肥えた料理人たちを唸らせる“最高の賄い”だ。岳は数学の天才であるとはいえ、料理そのものの腕に関しては特別な実践を積んできたわけではない。岳が直面したのは、想像を絶する光景だった。

 現実の厨房は凄まじい回転の速さで、賄いの準備どころではなかったのだ。飛び交う細やかな指示、忙しなく動くスタッフたち、絶え間なく鳴り響く料理の音……そこはさながら戦場のよう。海のもとで敵軍と向かい合う兵士のようなスタッフたちが、命懸けで料理を作る。それがレストラン「K」の厨房だった。「K」の最年少シェフ・孫六(板垣李光人)に「もう帰っていいよ」と突き放され、次々と積み上がる皿の山に向き合う岳の姿には胸が苦しくなった。時折挟まる、岳の父親の優しい応援メッセージもなおさら辛い。

 慣れない激務に疲れ果てて帰宅した岳に、寧々(宮澤エマ)が励ましの言葉をかける。その何気ない一言をきっかけに、岳が初日に作り上げたのは癒し”を感じさせる肉じゃがだった。焦げ、塩、とろみにテクニックを使い、食材のポテンシャルを最大限に引き出した肉じゃが……観ている側としては「めちゃくちゃ美味しそう」以外の言葉が出ないのだが、結果は惨敗。「“ここにいる全員が薙ぎ倒されるような料理”ではない」という辛口な評価に落ち込む岳。

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