こんな志尊淳を待っていた! 『フェルマーの料理』溢れるカリスマ性で視聴者の心を鷲掴み
海という掴みどころがないけれど目を奪われてしまう憎い役どころを見事に表現し、岳はもちろんレストラン「K」のスタッフも客も、視聴者の心をも鷲掴みにしている志尊。2023年前期の朝ドラ『らんまん』(NHK総合)では、主人公の植物学者・槙野万太郎(神木隆之介)という天才を常に見守りサポートする幼なじみ・竹雄役を熱演していたのも記憶に新しい。本作では、才能のある主人公の傍にいる存在という立ち位置は同じながらも、それを乗りこなし自分の目的のために利用しようとする“敵か味方か”わからぬ末恐ろしさがある。
さらに本作は、1話目にして“見えて”しまうことの孤独さにまでも触れた。“見えて”しまう者が人を束ねる立場に立った際に、自分と同じ水準を相手にそのまま求めると、周囲が置き去りにされてしまい孤立を深めてしまう。さらに本人にはそのつもりがなくともカリスマ性があるがゆえに心酔されすぎてしまい、“なんとかこの人に認めてもらいたい”と思わせて、相手を必要以上に追い込んで自爆させてしまうことが往々にして起きてしまうものだ。
流暢なフランス語に、鮮やかな包丁捌き、どこをとっても絵になるその立ち居振る舞い……。海はあまりに隙がなさすぎる。そんな若くして完璧でトップを極めた存在をこれだけ説得力を持ってして、いやらしさもなしに、時にオーバーな振る舞いも笑いにはならずに視聴者に受け入れられているのは、志尊だからこそ為せる業だろう。危うさや怪しさまでも妖艶で、岳が人生を懸けて挑みたくなる気持ちもわかる。
「高いところに昇れば昇るほど人は孤独を深め、脇役すら必要なくなる」
伝説のシェフ・渋谷克洋(仲村トオル)の言葉が岳と海の運命的な出会いのその後を示唆していそうで、今後の2人の関係性が気になる。
第1話冒頭に描かれた1年後の岳の表情は、あどけなさが一切消え、自らピリッとした緊迫感を必要以上に放ち、周囲と壁を作る“孤高”そのもので、彼が海の影響を受けすぎたのだろうことが窺える。海が岳と手を組み目指している真の目標とは何なのか。天才同士の2人が出会ってしまったこの奇跡は、吉と出るのか、それとも凶と出るのか。
■放送・配信情報
金曜ドラマ『フェルマーの料理』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜22:54放送
U-NEXTにて、各話の初回放送直後配信
Netflixにて、配信中
出演:高橋文哉、志尊淳、小芝風花、板垣李光人、白石聖、細田善彦、久保田紗友、及川光博、宮澤エマ、細田佳央太、宇梶剛士、高橋光臣、仲村トオル
原作:小林有吾『フェルマーの料理』(講談社『月刊少年マガジン』連載)
脚本:渡辺雄介、三浦希紗
プロデューサー:中西真央
演出:石井康晴、平野俊一、大内舞子
©TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/fermat_tbs2023/
公式X(旧Twitter):@Fermat_tbs
公式Instagram:fermat_tbs
公式TikTok:@fermat_tbs