『呪術廻戦』「渋谷事変」で活躍する冥冥にとっての倫理 弟・憂憂との関係と能力を解説

『呪術廻戦』冥冥にとって明確な倫理とは

 そんな彼女にとっての真理が第36話で少し垣間見える。呪詛師に対して投げかけた「命の価値、命の重さは何に比例するか」という問いに対して、自身で「用益潜在力そのものが命」と答えていた冥冥。彼女の“金が全て”という価値観はこれまでも劇中で何度か触れられてきた。つまり金を積まれればどちら側にでも立つわけで、姉妹校交流会でも楽巌寺に金を積まれて虎杖暗殺を目論む彼らに協力し、彼を映すカラスの数を減らしていた。しかしその後、五条から1000万円を振り込まれる描写も。そして彼女が東堂葵と共に虎杖を一級術師に推薦したことから、おそらくその推薦の“報酬額”として支払われた可能性がある。

 その頃の五条は高専の裏切り者を探していた。もしかすると推薦以上に何か起きたときに、虎杖をはじめとする学生たちを冥冥に任せていたのかもしれない。彼は御三家の頭首である自分に“価値”があることを理解していたし、冥冥も多額の金を支払える五条に恩を売ることに嬉々としていた。そういう意味で守銭奴である彼女のモラルはわかりやすい。金を積まれれば鞍替えをする、と先述したが呪霊と人間の全面戦争となる「渋谷事変」においては、冥冥は決して呪霊側に寝返らないと考えられる。なぜなら、人間が消された呪霊の世界において彼女の大切な“金”の価値がなくなるからだ。彼女の理念がわかりやすいからこそ、ある意味信頼しやすいキャラクターでもある。

 そんな彼女の横にいる弟・憂憂だが、彼は本当に彼女の弟だ。オガミ婆の孫が彼女にとって本当の“孫”ではない、みたいな怖いケースもあるから疑いたくもなるが、憂憂が実弟であることは著者の芥見下々によって公言されている。幼い伏黒恵に出会った五条悟が話していたように、本来術式を自覚する年齢が大体4〜6歳のため、憂憂くらいの術師も少ないがいることにはいるのだ(なお、憂憂も年齢不詳)。公式ガイドブックによれば、冥冥が高専に入った経緯が“家系”ということから、憂憂も家族ぐるみで術師として活動していることが推測できる。そんな彼の技は何なのか。謎に包まれた彼らの戦いが、ついに描かれる。

■放送情報
TVアニメ『呪術廻戦』第2期
MBS/TBS系にて、毎週木曜23:56~放送
キャスト:榎木淳弥、内田雄馬、瀬戸麻沙美、中村悠一、島﨑信長、櫻井孝宏、諏訪部順一、三瓶由布子
原作:『呪術廻戦』芥見下々(集英社『週刊少年ジャンプ』連載)
監督:御所園翔太
シリーズ構成・脚本:瀬古浩司
キャラクターデザイン:平松禎史、小磯沙矢香
副監督:愛敬亮太
美術監督:東潤一
色彩設計:松島英子
CGIプロデューサー:淡輪雄介
3DCGディレクター:石川大輔(モンスターズエッグ)
撮影監督:伊藤哲平
編集:柳圭介
音楽:照井順政
音響監督:えびなやすのり
音響制作:dugout
制作:MAPPA
「渋谷事変」オープニングテーマ:King Gnu「SPECIALZ」(Sony Music Labels)
「渋谷事変」エンディングテーマ:羊文学「more than words」(F.C.L.S./Sony Music Labels)
©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会
公式サイト:https://jujutsukaisen.jp

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