『余命10年』小松菜奈と坂口健太郎が魂を燃やす 1年間の撮影で深まった人物造形

 坂口が演じる和人は、茉莉が病に侵されているとは知らずに、真っ直ぐに彼女を想い、一緒にいたいと願っている男性だ。映画の冒頭、和人は生きる気力を失っていて、衝動的に自殺未遂をしてしまう。だが、茉莉と再会して、彼女に惹かれたことで、生きる意味を見出していく。

 そんな和人に扮した坂口は、藤井監督と一緒に考えながら和人像を作っていったという。和人を“監督と自分の共通の友達”のような感覚でとらえ、「和人だったらどうするかな?」と監督と話し合って演じたという坂口。彼の好演によって、純粋で瑞々しい和人の茉莉への深い愛が伝わってきて、茉莉を愛することで成長していく和人を見ることで幸せを感じられる。

 本作は、ただつらくて悲しい作品ではなく、大切な人と過ごす幸せな時間、心が温かくなるような時間が綴られており、10年を一生懸命に駆け抜ける主人公の気持ちに寄り添わずにはいられない。

 “泣ける映画”と言われると、ハードルを上げられすぎて泣けないこともあるが、本作はさまざまな場面に心が震え、筆者も号泣したことを覚えている。今回、地上波初放送となるが、映画館ではないので周りを気にせず、タオルとティッシュを用意して存分に堪能してほしい。

参照

※ https://wwws.warnerbros.co.jp/yomei10-movie/interview2.html

■放送情報
『余命10年』
日本テレビ系にて、10月20日(金)21:00~23:14放送
※放送枠20分拡大
出演:小松菜奈、坂口健太郎、山田裕貴、奈緒、井口理、黒木華、田中哲司、原日出子、リリー・フランキー、松重豊
原作:小坂流加『余命10年』(文芸社文庫NEO刊)
監督:藤井道人
脚本:岡田惠和、渡邉真子
音楽・主題歌:RADWIMPS「うるうびと」
©2022映画「余命10年」製作委員会

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