趣里が演じるヒロイン・スズ子の仲間たちも増え、ますます活気づく朝ドラ『ブギウギ』（NHK総合）。若手の女性俳優陣が次々に登場しては、それぞれの立ち位置からドラマの展開を盛り上げている。そんな中に藤間爽子が登場する。着実にキャリアを重ねてきた彼女は知る人ぞ知る存在だろう。だが本作にて、藤間は誰もが知る存在となる。そうここで断言したい。

　本作で藤間が演じるのは、スズ子の幼なじみであるタイ子だ。スズ子がまだ鈴子（澤井梨丘）だった頃に同じ小学校に通い、卒業後に「梅丸少女歌劇団（USK）」へと進んだ鈴子とは別の道を歩んでいたが、変わらず大親友な間柄らしい。母親は芸者であり、タイ子もまた芸の道へ。スズ子がエンターテインメントの世界に飛び込んでいったのに対し、タイ子は伝統芸能の世界へと歩みを進めたのだ。

　本作にて誰もが藤間の存在を知ることになると断言したのには、二つの大きな理由がある。一つ目は、やはりヒロインの親友のポジションであるということ。

　前作『らんまん』（NHK総合）では、神木隆之介が演じた主人公・槙野万太郎の友人役を務めた前原滉、前原瑞樹、山脇辰哉らが一気に株を上げていたことが記憶に新しい。同作をとおして彼らのことを知り、魅了された方はかなり多いはずだ。さらにその前作である『舞いあがれ！』（NHK総合）では、福原遥が演じるヒロイン・舞の友人たちがやはり株を上げていた。親友役を務めた山下美月は現役アイドルだが、演技に関しても堂に入ったものを披露できる存在なのだと証明したし、舞の航空学校の同期の一人を演じた山崎紘菜は、豊かなキャリアに裏打ちされたパフォーマンスで物語を転調させる役割を担った。

　さらに遡れば、永野芽郁が主演した『半分、青い。』（NHK総合）では奈緒や清野菜名が、有村架純が主演を務めた『ひよっこ』（NHK総合）では佐久間由衣、松本穂香らがヒロインの友人役として出演し、その名を世に知らしめた。彼女たちの現在の活躍ぶりを見るに、国民的ドラマである朝ドラで重要な役どころを担ったことによる影響はかなり大きいものだと感じる。朝ドラは視聴者の年齢層の幅が広い。タイ子役として登場する藤間も、幅広い世代の人々に“見つかる”のではないだろうか。