『ブギウギ』岡部たかしが役柄にもたらす奥行き “アホのおっちゃん”は鈴子に何を残す?
『ハヤブサ消防団』(テレビ朝日系)では、消防団の一員でありながらも、新興宗教・アビゲイル騎士団の信者としての顔も持ち、実は消防団の仲間のことを裏切っていた徳田省吾という難役を務め上げ、団員だけでなく視聴者のことも綺麗に欺いた。盲信的で罪の意識がないように見える省吾の傾倒ぶりは“信じる者は救われる”という言葉を彷彿とさせる。一方で、教団のために動きながらも消防団員や村の人のことを極力傷つけまいとする省吾なりの優しきダブルスタンダードも垣間見え、ごくごく“普通”の人間の中にも眠る狂気を感じさせた。
生瀬勝久、橋本じゅん、岡部たかし 『ハヤブサ消防団』の“怪しすぎる”バイプレイヤーたち
『ハヤブサ消防団』は、濡れ衣を着せられた浩喜の死、真鍋の太陽光発電事業、彩の真性、部長賢作の連続放火事件等、疑惑が次々と展開して…
岡部は今見えている一面だけがその人の全てではないのだろうという役柄の奥行きを感じさせる。どうしようもなさやままならなさを抱えながらも、本人もそれを昇華し切れておらず、時に正反対の言動に出てしまうような危なっかしい役柄が続いているようにも思える。そして、その“正反対に”振り切ってしまうことでしか、もう片方にある自分の本心を守れないような不器用さに、彼が演じる一見したところ強烈なキャラクターは“異物”ではなく、実は周囲にも自分にも嘘のつけない人間臭い人なのだと思わされる。
さて、『ブギウギ』ではそんな独特で退廃的な雰囲気のあるアホのおっちゃんが幼少期の鈴子に何を残していくのだろうか。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
NHK総合にて、10月2日(月)より放送
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
写真提供=NHK