『チキップダンサーズ』花江夏樹が8役に挑戦 山寺宏一、内田真礼ら多役を演じた声優たち

 9月25日より放送がスタートしたTVアニメ『チキップダンサーズ』第3期にて、8役のキャラクターを演じ分けていることで注目を集めている花江夏樹。ことアニメ作品においては、一人の声優が複数の役を演じることは少なくなく、これまでに多くの声優が複数の役を担当してきた。

 一人多役と聞いて真っ先に思い浮かぶのが、『彼岸島X』で一人50役を演じた山寺宏一だ。同作は1話完結型のストーリーとなっており、第1~3話を速水奨、第4~6話を千葉繁、第7~9話を関智一、第10~12話を山寺、第13話(番外編)を朴璐美が担当し、豪華声優陣が演じる一人芝居が大きな注目を集めた。中でも特筆すべきは主人公の宮本明や吸血鬼といった男性キャラクターだけではなく、坂下ユキや青山紅葉といった女性キャラクターから、犬や猫、カラスなどの動物、さらには瓶や焚き火、豚汁といった無生物までをも山寺が演じきったことだ。それには山寺の多彩な声色がなければ成り立たない。

 かつて映画監督の押井守が山寺について「彼は8通りの声を出すし、20役を演じ分けてみせる」と語っていたが、山寺には多くの引き出しが存在している(※1)。それには声優本人の個性があまりにも強すぎては成り立たないものだ。その点、山寺は自らの個性と表現を両立させている稀有な声優である。余談ではあるが、エンディングのクレジットに山寺の名前がずらりと並んだ光景はいつ見ても圧巻だった。もし興味がある方はぜひ作品を視聴してもらいたい。

 山寺の50役とまではいかないまでも、過去には内田真礼が『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X』でカタリナ・クラエス役をはじめ7人のキャラクターを演じたことも記憶に新しい。同作ではカタリナが脳内で自問自答を繰り返す「脳内会議」はファンの間でも話題となった。また、俳優の満島ひかりは『アイラブみー』で主人公のみーをはじめとする全登場キャラクターを一人50役で演じている。満島はインタビューにて「今までに50ほどのキャラクターの声をやってみて、コレをいつか、子どもたちに紙芝居のような形で見せられたら面白そうだなとか、思ったりもします」と語っており、一人多役を経験したことで大きく視野が広がったようだ(※2)。もう少し広げてみると、日野聡が『妹さえいればいい。』で20人役、上田麗奈が『てさぐれ!部活もの』シリーズで18役以上、関智一が『新テニスの王子様 U-17 WORLD CUP』で7役を演じており、その度にファンの間では大きな話題となった。

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