全米脚本家組合、ストライキ終了へ暫定合意 PR活動の制限で『エクスペンダブルズ4』不発

 9月24日(現地時間)、全米脚本家組合(WGA)と映画製作者協会(AMPTP)が、およそ5カ月間にわたるストライキの終結に向けて暫定合意に達した。現時点でその内容は明かされていないが、WGA組合員の承認を受けて新たな協定は有効となり、しかるべきプロセスを経て、正式にWGAのストライキは終了する。

 脚本家のストライキが無事に終結を迎えるなら、次なる課題は、全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)とAMPTPも同じく合意に達することだ。2つのストライキは映画製作のみならず、映画興行にも大きな影を落としていた。両組合に所属する脚本家と俳優は、新作のプロモーションに参加することができず、これによって少なくない映画が本来の興行的ポテンシャルを発揮できなかったのである。

映画『エクスペンダブルズ ニューブラッド』特報

 シルヴェスター・スタローン&ジェイソン・ステイサム主演、『エクスペンダブルズ』シリーズの最新作『エクスペンダブルズ ニューブラッド』もそのうちのひとつだ。9月22日に北米公開を迎えるも、週末3日間のオープニング興行収入はシリーズ史上最低。9月24日までの週末ランキングでは、公開3週目の『死霊館のシスター 呪いの秘密』に敗れてNo.2での発進となった。

 傭兵集団「エクスペンダブルズ」の活躍を描く本シリーズには、過去作にアクション映画のレジェンドや実力者が多数出演。9年ぶりの第4作となった今回は、ドルフ・ラングレンやランディ・クートゥアが続投したほか、新たにミーガン・フォックスやカーティス・“50セント”・ジャクソン、イコ・ウワイス、トニー・ジャー、アンディ・ガルシアらが参加。監督は『ニード・フォー・スピード』(2014年)のスコット・ウォーが務めた。

 ところが、本作は週末3日間で興行収入830万ドルを記録。事前の予想では1500万ドル規模のスタートとみられていたが、現実にはその約半分という極めて厳しい滑り出しとなった。上映館数3400、製作費1億ドルというプロダクションの規模を鑑みても、ここまで大きな狂いが生じることは珍しい。

 もっとも今回の不発には、ストライキでキャストのプロモーションが叶わなかった以外にも複数の要因が考えられる。前作からの9年間で、ハリウッドのアクション映画のモードが変化したこと(配給のライオンズゲートは、この間に『ジョン・ウィック』シリーズを大ヒットシリーズに成長させた)。スタローン&ステイサムの映画界におけるポジションが変化したこと。シンプルに、前3作ほどキャッチーな豪華キャストを揃えられなかったこと。またRotten Tomatoesでは批評家スコア16%・観客スコア71%と渋い数字で、口コミ公開もあまり期待できなかったことだ。

 2010年製作『エクスペンダブルズ』は、北米で初動興収3482万ドル、世界累計興収2億7447万ドルを記録。続編『エクスペンダブルズ2』(2012年)は北米初動2859万ドル&世界累計3億1497万ドル、第3作『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』(2014年)は北米初動1587万ドル&世界累計2億1465万ドルとなっていた。

 こうした数字からは、本シリーズが北米より海外市場で優れた成績を示す傾向が見て取れる。本作も北米の滑り出しこそ失敗したが、海外の成績次第で挽回の可能性もあるのだ。報道によると、北米に先駆けて9月15日に公開を迎えた中国市場では2080万ドルを記録しているという。日本公開は2024年1月12日、興行的な追い風をうまく作り出すことができるか。

関連記事