『何曜日に生まれたの』複雑な人間関係に巻き込まれていく飯豊まりえ 片山友希の存在感も

 すいの彼氏を装ってディナーに参加した公文も新キャラの彼女に釘付けで、物語には欠かせない“サイコキャラ”として位置づける。確かにリリ子は常人には理解しがたい言動をとっているが、どうしても悪い人間に思えないのは筆者だけだろうか。その理由の一つになっているのが、雨宮とバイク事故に遭ったすいへの態度。雨宮に対して異常なほどの執着を見せる彼女なら、彼に怪我を負わせたすいを罵倒してもおかしくはない。しかしながら、彼女は「私に任せて、彼のことは」と言うだけで、すいのことは一切責めなかった。

 一方で、すいに未だ消えないトラウマを植え付けるほどの言葉を浴びせた江田と瑞貴。現在も瑞貴はかつて江田を好きだったすいを牽制し、その癖自身は浮気をしているかもしれないという。かたや江田もそんな夫婦の問題を自分たちで解決しようとはせず、すいや雨宮に相談を持ちかけてはうじうじと悩んでいる。リリ子よりもよっぽど理解不能なのは彼らの方ではないだろうか。

 しかしながら、公文が興味本位でリリ子に接触したことで事態は急変。リリ子は公文に対して、「オートバイの事故、私が原因です」と告白する。そんな中、雨宮とすいが会いに行ったのはサッカー部の元キャプテン・健人(濱正悟)だ。彼は現在、実家が営むモーターサイクルショップで働いている様子。もしリリ子がすいと雨宮が乗ったバイクに細工を仕掛けたのだとしたら、そこに彼が関わっている可能性も十分にある。

 そんな誰かに仕組まれたかもしれない事故で大きな傷を負ったにもかかわらず、「俺で良かったって、この傷跡を見るたびに思います」とすいが無事だったことに安堵を示す雨宮。彼もまた今の時点では非の打ちどころのない王子様的存在だが、完璧すぎて逆に人間味がないとも言える。10年前のバイク事故の真相もそうだが、すいを取り巻くキャラクターの心情こそ謎に満ちていて、まだまだ読み解けそうもない。

■放送情報
『何曜日に生まれたの』
ABCテレビ・テレビ朝日系にて、毎週日曜22:00〜放送
TVer、ABEMAにて、地上波放送終了後見逃し配信 
TELASA、U-NEXTにて、第1話~最新話まで見放題配信
出演:飯豊まりえ、溝端淳平、井上祐貴、YU、若月佑美、片山友希、濱正悟、早見あかり、シシド・カフカ、陣内孝則ほか 
脚本:野島伸司
企画・プロデュース:清水一幸
プロデューサー:南雄大、松原浩、柴田裕基、難波利昭
制作プロデューサー:奈良井正巳
演出:大塚恭司、岩本仁志、松原浩
音楽:福廣秀一朗
主題歌:The Hollies「Bus Stop」
制作著作:ABCテレビ
©︎ABCテレビ
公式サイト:https://www.asahi.co.jp/nanuma/
公式X(旧Twitter):@nan_uma_abc 
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