「みるアジア」代表に聞くアジアドラマの魅力と可能性 心を揺さぶる“KTS”要素がカギに?

 動画配信サイト各社がしのぎを削る中、中国や韓国ドラマファンの間でひそかに「こんな機能がほしかった」「かゆいところに手が届く」と話題のサイトがある。アジアドラマの配給やDVD制作・販売などを手がけている株式会社コンテンツセブンが昨年オープンした「みるアジア」だ。日本未公開の新作や名作ドラマの配信、日本語と原語の字幕も入れるようにした「二か国語字幕」など、他サイトにはない機能が魅力。日本における韓国ドラマブームの前からアジアドラマを手がけてきた同社代表取締役の成七龍氏に、「みるアジア」のこだわりから、アジアドラマの魅力や日本市場の可能性まで、話を聞いた。

「作品がよければ必ず視聴者はついてくる」

ーー「みるアジア」は2022年7月にオープンしたサイトです。起ち上げの経緯を教えてください。

成七龍(以下、成):当社では長年、韓国ドラマなどアジアドラマのDVD販売をメインとした通販事業も展開しており、購入してくださるお客様は比較的年齢層が高いという特徴があります。近年、動画配信サービスが盛り上がっていく中でDVD市場は縮小、「動画配信サービスは敷居が高い」「自分には難しい」といったお客様の声を耳にするようになり、そういった方々にも使いやすいサービスを提供できたらと考え、本サービスの起ち上げを決めました。

ーー配信作品のラインナップを見ると、最近主流の時代劇ラブストーリーやコメディより、クオリティ重視と分かる渋いセレクトだと感じます。従来からの視聴者に多い年齢層に合わせたのですか?

成:どちらかというと、皆さんに観ていただきたい作品、という視点でセレクトしています。私自身、歴史的な背景や家族の事情といった自分ではどうにもならない環境に翻弄されてしまう人間の根源的な問いを描いた骨太の作品が大好きでして。ただ、テレビ局や配信会社からは「ターゲットに合わない」「地味だ」と言われることが多かった。でも、世の中にはこんなに多くの良作があるのだから自社でサービスを立ち上げて需要を掘り起こしていこうと始めたのが「みるアジア」です。もちろん、皆さんの大好きな胸キュンラブコメや、時代劇もたくさん用意しています。

株式会社コンテンツセブン代表取締役の成七龍氏

ーー成社長のご経歴と、コンテンツセブンの事業内容について、あらためて教えてください。

成:当社は2000年、韓国の『ホジュン~宮廷医官への道~』という歴史ドラマに魅了されて「このドラマを日本の皆様に届けたい」という熱意で立ち上げた会社です。まだ『冬のソナタ』(※韓国で2002年放送/以下『冬ソナ』)で韓流ブームが起こる前のことで、「早すぎた韓流」と揶揄されましたが(笑)。その後もずっと韓国ドラマを扱ってきました。韓流ブームの盛り上がりとともに、人気俳優が出演しているかどうかを重視して作品を選択する同業他社さんが多い中、私たちは作品がよければ必ず視聴者はついてくると信じていたので、作品内容で選ぶ姿勢を持ち続けてきました。お陰様で韓流ブームの当初から50話を超えるホームドラマや愛憎劇、時代劇なども視聴者から良い反響をたくさんいただきました。

ーークオリティ重視の姿勢は最初からだったのですね。

成:実際のところ、視聴者にとっては、まず「誰が出ているか」の方が取っつきやすく、テレビ局にとっても、あらかじめファンがついている俳優の作品のほうが視聴率が見込めるため出演俳優の影響力は計り知れないのですが……。

ーー取っ掛かりとして、人気俳優の出演作というのも大事ですね。韓国以外の作品も紹介されるようになったのは、いつ頃からですか?

成:韓流ブームの初期の頃から台湾の作品などもいくつか購入していましたが、5〜6年前くらいから本格的に中国ドラマを扱うようになりました。当初は時代劇がメインでして、衣装が豪華でセットもきらびやか、とにかく見た目が華やかで、かなりの制作費が投じられていることを感じていました。中国ドラマと言えばかつては『三国志』ものなど、日本の誰もが知っているような伝統的な時代劇が主流でしたが、昨今はファンタジー要素を含んだものなど日本にも韓国にもないテイストのドラマが増え、そのジャンルの幅は広がってきています。

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