『転職の魔王様』小芝風花が下僕からバディに昇格? “魔王”成田凌が魔力を封印

 『転職の魔王様』(カンテレ・フジテレビ系)は、転職エージェントを舞台に“魔王”来栖嵐(成田凌)の活躍を描く。それと同時に、見習いキャリアアドバイザー・未谷千晴(小芝風花)の成長物語でもある。8月14日に放送された第5話では、因縁のクライアントを前に魔力を封印した魔王を従順な下僕が救った。

 千晴の試用期間も終わりに近づいてきた。この先もシェパードキャリアで働き続けるか決めなくてはならない。そんな折、千晴は求職者の戸松卓郎(葉山奨之)をまかされる。来栖が断った戸山は短期間で離職を繰り返しており、どこか投げやりな雰囲気。同僚が二の足を踏む戸松を、千晴はなんとかして前向きにしようと試みる。

 転職業界でジョブホッパーは多くの場合、ネガティブな響きをともなう。戸松は行く先々で職場の改善点を意見しては、居場所をなくして退職していた。自己都合退職が重なり、トラブルメーカーの印象をぬぐえないまま、面接でのネガティブな発言がわずかな可能性をさらに狭めていた。千晴が「自分の人生をわざと良くない方に進めようとしている」と感じた戸松には、実は悲しい過去があった。

 第1話で「あなたの正解はあなたにしかわからない」と魔王に言われて始まった千晴のアドバイザーとしてのキャリアは、求職者に寄り添う姿勢が徐々に実を結び、自信もついたのだろう。味覚が元通りになるのと並行して、働くことの喜びを取り戻しつつあった。戸松に対しても千晴は自分なりに精いっぱい対応しており、彼女なりの正解を見出したことが伝わってきた。

 これまでどちらかと言うと魔王におびえ、一方的に従うばかりだった千晴が、自らの意思でやろうと決めた「自分が思うキャリアアドバイザー」。千晴の決断は何重にも意味がある。単に主体的に仕事に取り組むというだけではない。営業の横山(前田公輝)が言うように、本来、転職エージェントにとっての顧客は紹介料を払う企業である。求職者に割ける時間は限られていて、合わないと思ったらすみやかに次の候補を探さなければならない。一人ひとりに丁寧に対応することは、自らの首を絞めるおそれすらある。

 そのことをわかって、それでも戸松のためにできる限りのサポートをする千晴は、目指すべきキャリアアドバイザー像が見えており、一見すると冷淡に突き放していた来栖も、求職者に手を差し伸べる千晴を止めなかった。来栖は、千晴や他の求職者が面接や内定を辞退しても涼しい顔で尻ぬぐいをしていた。もしかすると、千晴の独り立ちを誰よりも願っていたのは来栖だったかもしれない。

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